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知っておきたい園芸情報 - 園芸コラム観葉植物周りのコバエ対策どうする?予防と駆除の具体的な対策方法

観葉植物を育てていると、いつの間にか室内にコバエが飛んでいることがあります。視界を飛び回っている様子が不快なうえ、なかなかいなくならないため、対策に困っている方もいるでしょう。コバエは、数匹の室内侵入から大量発生につながる恐れもあるので、放置せずに対処することが大切です。

そこで本記事では、観葉植物の周囲にコバエが発生するおもな原因や予防方法、駆除方法を紹介します。

目次

観葉植物にコバエが発生するおもな原因

室内を飛び回る小さな虫は、一口に「コバエ」と呼ばれることが多いですが、実際にはいくつかの種類があります。コバエの種類によって対策方法は異なるため、まずは対策すべきコバエの種類と特徴を押さえておきましょう。

観葉植物の周りに発生するのは「キノコバエ」と「チョウバエ」ですが、ほとんどの場合は「キノコバエ」です。

・キノコバエ:蚊のような形で体長1~2mm程度、土に卵を産み付ける

キノコバエ

・チョウバエ:蛾のような形で体長1~5mm程度、水が溜まった場所に卵を産み付ける

チョウバエ

以下では、キノコバエまたはチョウバエが観葉植物周辺で発生するときのおもな原因を紹介します。

購入時の土に含まれていた卵

キノコバエが発生している場合、購入した観葉植物の土に、もともとキノコバエの卵が混ざっていた可能性があります。キノコバエの卵は小さく、土の中に産み付けられているため、購入時に注意深くチェックしたとしても気付けません。

キノコバエは卵から成虫になるまで2~4週間程度かかります。そのため、卵に気付かず鉢植えの観葉植物を購入して自宅に持ち帰った場合、しばらくしてから成虫になって出てくる可能性があるのです。

湿気と風通しの悪さ

コバエは一般的に気温20~25度、湿度60~70%程度で発生や繁殖が盛んになります。梅雨の時期はコバエが発生する気温・湿度の条件がそろいやすいので注意が必要です。

また、観葉植物は屋内で育てることが多いため、冬でも空調などによってはコバエの発生条件がそろってしまいます。そのため、特定の時期に限らず湿気対策は必要といえるでしょう。

特に、風通しが悪い場所に観葉植物を置いていると、水やり後の湿気が逃げないので、コバエにとって都合の良い環境になりがちです。

有機質肥料や有機質用土

観葉植物を育てる際に使われる有機質肥料や有機質用土は、コバエのエサになります。そのため、有機質肥料や有機質用土の使用によって、コバエを引き寄せてしまっている可能性も考えられます。

特に、気温や湿度の高い梅雨から夏にかけて有機質肥料などを使うと、コバエの発生も増えがちです。有機質肥料などは植物の成長や健康維持に有効ですが、コバエが発生しやすい時期は使用を控えることも検討するとよいでしょう。

一度発生したコバエは自然に死滅しにくく退治が必要

コバエは1回で200個近く産卵することもあるなど、数が増えやすい害虫です。土の中は湿っていて比較的温かく、卵や幼虫に最適な環境であることから、鉢植えに産み付けられた卵が自然に死滅することはほぼないでしょう。

特に、屋内で観葉植物を育てている場合、一年中快適な室温が保たれた環境であることが多いため、コバエが冬になっても死滅しないケースもあります。

そのため、一度コバエを見かけたらできるだけ早急に対処しないと、延々と新しいコバエがわき続けたり大量発生したりしかねません。

繁殖のもととなるコバエの成虫を、室内に招き入れないように予防を行なうとともに、1匹でも見かけたらすぐに退治するなど、予防と駆除の両面から対策するのがおすすめです。

【予防方法】観葉植物のコバエ対策

コバエ対策としては、まずコバエの成虫を寄せ付けず、観葉植物周辺に卵を産み付けられないように予防することが重要です。以下では、観葉植物周りのコバエ発生を防ぐ方法を紹介します。

水耕栽培に変える

前述のとおり、キノコバエの産卵場所は土です。そのため、土を使わない水耕栽培に変えれば、キノコバエが新たに発生しにくくなります。

水耕栽培の種類は、植物の根を直接水に浸して育てる「水栽培」と、無機物の人工土を使う「ハイドロカルチャー」の大きく2つに分けられます。いずれの育て方も植物によって向き不向きがあるため、十分に調べてから移行しましょう。

また、水耕栽培に向いている植物であっても、土栽培から水耕栽培へ移行する際に枯れるリスクがあります。移行に適した季節やタイミング、移行手順に注意して実施しましょう。

水耕栽培に変更したあとは、常に水を清潔に保つよう心がけます。水が不衛生になると、チョウバエ発生の可能性が高まってしまいます。

土表面に人工石などを敷く

観葉植物の土にキノコバエの卵を産み付けられるのを防ぐには、土の表面に人工石などの無機物を敷いておくのも有効です。卵は土表面から3~4cm程度の場所に産み付けられるので、敷いておく無機物もある程度の厚みを持たせるとよいでしょう。

水やりと受け皿を適切に管理する

土が湿ったままの状態だと湿度が上がり、コバエにとって都合の良い環境が作られてしまいます。水の量を調整したり適度に日光を当てたりして、水やりのあと土が乾くようにしましょう。植物の種類や時期によっては、水やりの頻度を減らすと良い場合もあります。

また、鉢の中に水分が溜まったままにならないよう、鉢底石を敷いて水はけや通気性を確保するのもおすすめです。

ただし、種類によってはもともと水はけが悪く乾きにくい土もあります。水やりや水はけに注意してもコバエが減らない場合、用土を変更することで改善するかもしれません。

さらに、水やりのあとは受け皿に溜まった水をそのままにせず、こまめに処分しましょう。水を溜めたままにすると湿度が上がる原因になるほか、不衛生な水が溜まったままの受け皿は、チョウバエが卵を産む場所になってしまいます。

風通しの良い環境を保つ

コバエは基本的にジメジメした環境を好みます。観葉植物を育てる場所の風通しが悪いと土が湿ったままになり、コバエにとって都合の良い環境になってしまうので注意が必要です。

観葉植物は、窓の近くや空間が開けた場所など、湿気のこもりにくい場所に置きましょう。それと同時に、換気や除湿機などにより室内の湿度を調整する、扇風機やサーキュレーターを使い空気を循環させることも有効です。

【駆除方法】観葉植物のコバエ対策

観葉植物にコバエがわいてしまった場合、自然に死滅するのを待っていてもなかなかいなくなりません。以下で紹介する方法を参考に、コバエ駆除を行ないましょう。

殺虫剤を使う

殺虫剤を使用すると気付いたときにいつでもコバエ駆除できる手軽さと、即効性の両方が期待できます。

殺虫剤の種類によって効果を発揮する害虫が異なるので、購入する際は用途を確認してコバエ駆除に使えるものを選びましょう。コバエのなかでも、観葉植物周りに発生する「キノコバエ」と「チョウバエ」に効果があると書かれているものを選ぶようにします。

なお、殺虫剤のなかには園芸用ではないものも存在します。園芸用以外の薬剤を植物に直接散布すると、観葉植物にダメージを与えてしまう可能性があるので気を付けましょう。

コバエに効くおすすめの殺虫剤はこちら>>

鉢ごと水に沈める

土の中にいる卵や成虫を水没させて駆除する方法もあります。この場合、鉢より一回り大きなバケツなどに水を張り、鉢ごと水に沈めて10~15分放置します。しばらくすると水面にコバエや卵が浮いてくるので、すくって処分しましょう。

この方法は家にあるもので対策できる点がメリットです。ただし、虫が浮いてくる様子を見るのが苦手な人にはおすすめしません。

食虫植物を利用する

食虫植物とは、近づいた虫を粘着性のある葉っぱで捕えたり、一度入ると出られない構造の袋に虫をおびき寄せたりして捕食する植物です。

コバエのような小さな虫を捕食してくれるので、観葉植物のコバエ対策として近くで育ててみるのもよいでしょう。食虫植物はユニークな形状や生態が多いことから、子どもにも人気があります。

食虫植物の例としては、以下が挙げられます。

  • ハエトリソウ
  • ウツボカズラ
  • モウセンゴケ
  • ムシトリスミレ など

特に、ムシトリスミレはきれいな花が咲くので、観賞用としても楽しめます。

ただし、食虫植物表面に虫が付いた様子や、植物自体の独特の見た目などが苦手な人もいるかもしれません。

粘着剤などのコバエトラップを設置する

コバエを捕殺するためのコバエトラップを設置するのも一つの手です。例えば、ハエ取りシートは一度コバエが触れると逃さない粘着力を持ちます。土に挿すタイプやぶら下げるタイプなどがあり、観葉植物周辺に設置しておくと、飛び回っているコバエを捕えられます。

ただし、ぶら下げるタイプは、風にあおられて観葉植物にくっついてしまわないように注意が必要です。土に挿すタイプも、小さな子どもやペットが誤ってコバエトラップの粘着面に触ってしまう恐れがあるので、設置場所に気を付けましょう。

なお、キッチン用として販売されているコバエトラップは、観葉植物周りに発生するコバエ対策にはおすすめしません。キッチンに発生するコバエはキノコバエやチョウバエとは種類が異なるため、設置しても効果がない可能性が高いためです。

商品を選ぶ際は必ず用途を確認し、効果的にコバエ駆除できるアイテムを購入しましょう。

植え替え・土の入れ替えを行なう

コバエの産卵場所になってしまった土を捨てて、新しい土に変える方法もあります。コバエの卵があるのは土表面から3~4cm程度の深さなので、その部分だけでも入れ替えるとよいでしょう。

この対策を実施する際は、植え替え中の土からコバエが大量に出てくる可能性があるので必ず外で作業します。入れ替え用に用意する土は、コバエが好む有機物を含まない土(小粒の赤玉土など)を使うのがおすすめです。

効果的にコバエを駆除できるおすすめアイテム

ここまで解説してきたとおり、コバエ駆除の手段はいくつかありますが、なかでも殺虫剤は特に手軽で効果も見込める方法です。ここでは、おすすめのアイテムとして、「MY PLANTS コバエを退治するミスト」を紹介します。

MY PLANTS コバエを退治するミスト

「MY PLANTS コバエを退治するミスト」は、天然成分(天然除虫菊エキス)でコバエを退治する不快害虫殺虫剤です。観葉植物の周りに直接散布でき、においが少ないので室内でも使いやすいのが特徴です。コバエの成虫だけでなく、幼虫や卵の退治にも活用できます。

【適用害虫】キノコバエ、ノミバエ、ハヤトビバエ、チョウバエ、ショウジョウバエ、ムカデ(小型)、ヤスデ、ゲジ、ハサミムシ、ワラジムシ、トビムシ、ゴミムシ、赤ダニ(タカラダニ)、アリ、カメムシ、クモ

上記の不快害虫を見つけたときにすぐ対処するためにも、日頃から1本備えておくと安心です。

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まとめ

コバエは繁殖力が強いため、日頃からの予防と見つけたときの駆除の両面で対策が必要です。まずは卵を産む成虫を寄せ付けないことが重要なので、ジメジメした場所に観葉植物を置かない、有機質肥料などを使いすぎないなど、コバエが発生しにくい環境を整えましょう。

発生してしまったコバエは、増える前に速やかに駆除を行ないます。土を入れ替えたり鉢ごと水に沈めたりする対策もありますが、特に手軽な方法としては、殺虫剤がおすすめです。気付いたときにすぐに退治できるよう、使い勝手が良くコバエに効果のある殺虫剤を1本用意しておくと心強いでしょう。

監修 フラワーアドバイザー 藤原喜久江
ハンギングバスケットマスター・DFAフローリスト教師・ガーデンコーディネーター・JFAフラワーアレンジメントビジネス教師・JFAプリザーブドアレンジメントビジネス教師・あおき式園芸手法免状取得者。2010年から教室運営開始。花が紡ぐ『人と人とのご縁』を大切に、小さな幸福感を体験できる教室で講師として活動中。トレンドを意識した技術指導が好評。園芸メディアへの寄稿歴15年。岩手県在住。

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