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家庭菜園でも人気のミニトマトは畑がなくても育てられます。プランターや大きめの袋があれば育てられますので、ビギナーにおすすめの野菜です。
育てやすいといっても、育成環境の管理を怠ると病気になってしまうこともあるため、葉っぱなど目に見える箇所の異変に気が付いたら早めに対処しましょう。
ここでは、ミニトマトの葉っぱに黄変・黒変・斑点や白い粉が発生する原因と、葉っぱの異変からわかる代表的な病気、その対策を紹介します。
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ミニトマトの葉っぱが黄色や褐色に変化したり、葉っぱに斑点や白い粉が発生したりする場合には、いくつかの原因が考えられます。
葉っぱに、黄色の変色やまだら模様、褐色の斑点、薄茶色・白色のかびなどが生じている場合は、病気の可能性があるでしょう。
また、目視で確認できるような害虫がいなくても、小さな害虫の被害を受けている可能性もあります。
病気になったり、害虫が発生したりした場合は、被害が拡大しないように早めの対処が必要です。発生初期に気付いて対処すれば、被害の拡大を防止でき、処分する株や部位を少なく抑えられます。
なお、葉っぱでわかる代表的な病気と対策については次章、病気と間違いやすい虫害についてはその次の章で紹介します。
ミニトマトの葉っぱが黄色~茶色に変色しているものの、株自体が元気な場合は「葉っぱの老化」が考えられるでしょう。
変色の原因が葉っぱの老化の場合は、枯れた葉っぱを取り除くだけで問題ありません。
水や肥料の欠乏・過多も、葉っぱに変色などをもたらす原因になります。これらが原因の場合は、水や肥料の量を見直してみましょう。
また、ミニトマトの育成では気温も重要です。気温10度以下の環境では、低温障害によって茶色の斑点が葉っぱにできることがあります。低温障害で弱ってしまった葉っぱは回復しませんが、新たな葉っぱが出てくるまでは摘み取らず、環境を改善することで対策可能です。
ここでは、葉っぱをよく観察することでわかるミニトマトの代表的な病気とその対策を紹介します。
若い葉っぱや茎の表面に白いかびが生え、うどん粉をまぶしたような状態になるのが「うどんこ病」です。葉っぱの表面がうっすらと白色になってきたのを見つけたら、うどんこ病を疑ってみましょう。
うどんこ病の症状が進むと生育不良になり、実の味が落ちてしまいます。最悪の場合には、株が枯死してしまいます。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
原因は糸状菌(かび)。乾燥した気温の高い環境で発生しやすいため、春と秋に多い。 |
対策 |
かびの胞子が風で飛ぶと伝染するため、早めに発病部位をすべて取り除き、対応薬剤を散布する。 |
モザイク病では、モザイクのように見える濃淡のまだら模様が葉っぱや花弁にできます。症状が進むと、株が萎縮する・葉っぱが縮れる・黄色く変色するなど、株全体に変化が生じます。
ウイルス性の病気でおもに虫が媒介し、発病すると治療方法はありません。被害拡大を防ぐためにも、発病した株を早めに抜き取り処分することが大切です。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
原因はウイルスで、アブラムシ・ハダニ・コナジラミなどの虫によって媒介される。春と秋に多く見られる。 |
対策 |
発病株を根が残らないように抜き取る。発病株近くの他株にもウイルスを媒介する虫がいる可能性があるため、殺虫剤などをしっかりと使用し、再発を予防する。必要に応じて用具や手、植物の根、土壌を消毒する。 |
葉かび病では、葉っぱの表に黄緑色~淡い黄色の斑点がシミ状にあらわれます。症状が進むと葉裏に薄茶色でビロード状のかびが生え、葉表の斑点も褐色になります。
ミニトマトやトマトに多く見られる病気で、株の下方にある葉っぱから生じ、やがて上方の葉っぱにも被害が広がっていきます。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
原因は糸状菌(かび)。湿気が多い、20~25度の環境で発生しやすい。 |
対策 |
発病部位を落ち葉も含めてすべて取り除き、風通しと土壌の排水性を良くする。発病初期であれば対応薬剤の散布も有効。 |
部分的に葉っぱが黄色く変色し、しおれたようになるのが萎凋病(いちょうびょう)です。症状が進むと下方に生えている葉っぱから褐色になり、株全体がしおれていきます。
おもに土壌から感染しますが、二次感染では風によって種子が飛ばされ広がることがあります。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
原因は糸状菌(かび)で、土壌からの感染によって発生する。土壌の温度が高いと発生しやすく、夏に多く見られる。 |
対策 |
土壌伝染するため、発病株を根ごと取り除き、清潔な土壌に植え替える。 |
斑点病は、葉っぱに褐色の小さな斑点ができ、症状の進行とともに斑点の範囲が拡大する病気です。症状が進んだ株では、発育不良や落葉が生じます。
病原菌が風雨によって飛散しやすいため、発病した葉っぱや茎を見つけたら早めに対処することが大切です。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
原因は糸状菌(かび)。葉っぱが結露や雨に当たり、葉っぱの表面にある水口や気孔から菌が侵入して発生する。雨が多くなる、梅雨や秋雨の時期に発生しやすい。 |
対策 |
発病した葉っぱを落ち葉も含めて取り除き、風通しと土壌の排水性を良くしたうえで、適切な量の肥料を与えて育てる。 |
さび病の初期には、おもに葉っぱに白い小さな斑点が発生し、次第にその部分が盛り上がって褐色のイボのような小斑点になります。そして表皮が破れると、さびに似た黄色や赤褐色の粉末が飛散します。
飛散した粉末によって、ほかの植物にも被害が広がることがあるため、見つけたら早めに病変部位を取り除きましょう。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
原因は糸状菌(かび)で、水や空気を介して感染する。春や秋など、雨が多く気温が低めの時期に発生しやすい。 |
対策 |
発病した葉っぱをすべて取り除き、風通しと土壌の排水性を良くする。 |
灰色かび病では、茎葉が溶けるように腐っていく症状が見られます。症状が進むと病変部位が褐色になって腐り、灰色のかびに覆われ、実も腐ってしまいます。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
原因は糸状菌(かび)。低温で湿度が高い時期に発生しやすく、春や秋に多く見られる。 |
対策 |
発病した葉っぱを落ち葉も含めて取り除き、風通しと土壌の排水性を良くする。水のやり過ぎに注意する。 |
ミニトマトの葉っぱに異常が出ると病気だと思うかもしれませんが、目視確認しにくい虫による被害の可能性もあります。ウイルスを媒介する虫も存在し、直接的な被害だけでなく、病気への感染リスクが上がるという間接的な被害も生じるため、対処が必要です。
ここでは、ミニトマトの病気と間違いやすい虫害とその対策を紹介します。
ハダニはおもに葉裏に寄生するダニで、体長は約0.5mmです。葉っぱの汁を吸われた部分は葉緑素が抜けてしまい、白くなります。サイズの小ささから目視確認しにくく、多くは葉っぱの裏に寄生するため、数が多くなってから気付くことが少なくありません。
発生原因や発生しやすい環境・時期 | 気温が高く、乾燥している場所を好む。梅雨明けから、9月頃にかけて多く発生する。 |
対策 | 殺虫剤を散布する、葉裏に散水して寄生数を減らす、虫害を受けた部分を切り落とすなどの方法がある。 |
ミニトマトやトマトを好む、体長約0.1~0.2mmの小さなダニです。
トマトサビダニが発生すると葉っぱの裏側が光沢のある銀色になり、やがて褐色になって枯れてしまいます。茎は下方からくすみのある緑褐色~黄褐色へと変わり、徐々に上方の茎にも症状が広がっていきます。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
温暖な気候を好み、定植時の苗で持ち込まれることが多い。0度以下では生きられず、温暖な地方や施設内での発生が多く見られる。 |
対策 |
殺虫剤を散布する、特に苗の定植後に散布しておくと効果的。 |
エカキムシは、チョウ目(鱗翅目)のハモグリガとハエ目(双翅目)のハモグリバエという、まったく異なる害虫の幼生を指します。ハモグリガとハモグリバエはともに、幼虫・成虫が約2~3mm、卵が直径約0.2~0.3mmの大きさです。葉っぱの内部または表面に産卵し、幼虫は内部から葉肉を食べて育つため、葉っぱに症状が出るまで発見するのは困難でしょう。
食害された葉肉は葉っぱの表面から見ると蛇行状に白くなり、生育不良になります。
発生原因や発生しやすい環境・時期 |
飛来した成虫が葉っぱに卵を産みつけることで発生する。 気温20~30度で発生しやすく、春から秋にかけて多く見られる。 |
対策 |
食害跡の先端に幼虫がいるため、その部分を指で押しつぶして対処するか、被害のある葉っぱごと取り除く。その後、殺虫剤を散布する。 |
ここでは、ミニトマトの病気や虫害を予防して上手に育てるための方法や注意点を紹介します。
ミニトマトは、日当たりと風通しの良い場所で育てるのが基本です。土壌の排水性を高め、水はけも良くしておきましょう。湿度の高い環境には適していないため、過湿にならないよう注意してください。
水や肥料の欠乏・過多は、葉っぱに異常を生じさせるうえに、根を傷めて株を弱らせてしまいます。
例えば、水をやりすぎると根腐れや生理障害、病気を起こしやすくなる一方で、水不足では葉っぱの黄変や実割れを引き起こすことがあります。一般的に、水やりは1日に1回、朝方の土が乾いているときに行なうとよいでしょう。
肥料は、パッケージに記載の量を与え、適宜株の様子を観察して加減するのが基本です。例えば、チッ素過多になると軟弱に育って病原菌に感染しやすくなりますが、チッ素・カリウム・鉄の欠乏では葉っぱが黄色くなってしまいます。
このように、水・肥料の量はミニトマトの健康状態に影響するため、適量を与えるようにしましょう。
ミニトマトは、低温だと葉に異常が出たり株が弱ったりするため、できるだけ適温で育てましょう。生育適温は20~26度のため、猛暑日のように気温の高い日が続く場合にも注意が必要です。
薬剤の使用により、病気や虫害を予防する方法もあります。特に、ミニトマトに多く見られるうどんこ病や、ウイルスを媒介するアブラムシ・ハダニ・コナジラミなどの虫害には、薬剤による事前の対策が有効です。
毎年同じ病気や虫が発生しているのであれば、予防薬で対策するのがよいでしょう。
ミニトマトの病気の多くは育成環境を整えることで予防できますが、それだけでは予防が困難な場合もあるでしょう。
ここでは、病気や虫害の予防、病気への初期対応、害虫駆除に役立つ「ベニカナチュラルスプレー」と「ベニカVフレッシュスプレー」を紹介します。
「ベニカナチュラルスプレー」は、ブレンドされた3つの天然由来成分が病気や害虫に効果を発揮し、ミニトマトをしっかり守ってくれる殺虫殺菌スプレーです。
ミニトマトに多く見られる病気や害虫に対する効果が高い、下記の3つの成分を配合しています。
ハダニの成虫と卵の両方に効く植物油
アブラムシ・うどんこ病を包んで退治する水あめ
ミニトマトを食べるオオタバコガに効く有用菌
病気や害虫が発生した場合の初期の対処だけでなく、予防にも効果的で、食べる直前まで使用可能です。
【適用害虫】アブラムシ類、ハダニ類、コナジラミ類、オオタバコガなど
「ベニカVフレッシュスプレー」は、3つの有効成分の確かな効果により、予防と治療の両方が可能な薬剤です。
害虫が発生した際の対処にも有効です。アブラムシに約1ヵ月効くほか、薬剤抵抗性害虫にも効果があります。殺虫・殺菌成分が植物に浸透移行するため、雨が降ったあとも効果が持続します。
【適用害虫】アブラムシ類、コナジラミ類など
ミニトマトをおいしく健康に育てるには、病気・虫害の予防や早期発見が欠かせません。
多くの病気は日当たりと風通しを良くし、適度な水と肥料を与え、適温で育てることで予防できるでしょう。しかし、一部の病気や虫害は、それだけでは予防が難しいこともあります。
ミニトマトの葉っぱなどに異変を生じさせないためには、今回紹介した薬剤を必要に応じて取り入れることをおすすめします。予防や早期対処として薬剤を上手に活用し、健康なミニトマトを育てましょう。