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美しい花を咲かせるバラは人気があり、育てて楽しむ人も多い植物です。
そんなバラにつく虫は、バラの生育を阻害したり、美観を損ねたりするだけでなく、時には枯れる原因を作る存在となります。病原菌を持ち込む可能性もあるため、虫がつかないように予防することが大切です。そして、虫がついてしまったら、早期に発見して対処しましょう。
この記事では、バラにつく虫を紹介し、与える被害や有効な対策を解説します。バラを育てている方はぜひ参考にしてください。
バラにつく代表的な虫としては、以下の9種類が挙げられます。
バラにつく代表的な虫 |
発生しやすい時期 |
アブラムシ |
4~6月・9月中旬~10月中旬 |
アザミウマ(スリップス) |
5月中旬~9月中旬 |
カイガラムシ |
5月下旬~9月中旬 |
カミキリムシ |
成虫は5月中旬~9月中旬、幼虫は通年 |
コガネムシ |
成虫は6~9月、幼虫は4~5月・10~11月 |
クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ) |
5~6月中旬・7月中旬~9月中旬 |
ハダニ |
5月中旬~9月 |
チュウレンジハバチ |
5~7月・9~10月上旬 |
ヨトウムシ(ヨトウガ) |
4月下旬~6月・9~10月上旬 |
春から夏や秋頃に発生しやすい虫が多いですが、その時期だけ注意すれば良いわけではありません。バラの状態を日々チェックし、早めに虫を見つけたほうが対処しやすく、被害も最小限に抑えられるでしょう。
虫の特徴や与える影響は虫ごとに異なるため、以下で詳しく解説します。
アブラムシはさまざまな植物につきやすい、緑色のごま粒のような虫です。
繁殖力が高く、新芽や葉っぱ、蕾などからバラの樹液を吸って生育を妨げます。アブラムシは、病原菌やウイルスを媒介することもあるほか、分泌物がアリを誘引するため、二次被害ももたらします。
バラに与える影響 |
新芽や葉っぱ、蕾からバラの樹液を吸って生育を妨げます。病原の媒介やアリの誘引など、二次被害を与える可能性もあります。 |
対策 |
発生初期なら粘着テープで除去、大量発生しているなら殺虫剤を散布して駆除します。 |
アザミウマはスリップスともいう、黒または黄色っぽい色をした1~2mmほどの細長い虫です。
バラの芽や葉っぱ、花から樹液を吸います。吸われた花は茶色く変色して美しさが損なわれ、咲かなくなる場合もあります。咲き終わった花にもつく虫なので、花がらはこまめに処分しましょう。
バラに与える影響 |
バラの芽や葉っぱ、花から樹液を吸い、吸われたところが変色します。変色だけでなく、花が咲かなくなることもあります。 |
対策 |
花がらをこまめに摘み取り、見つけたら殺虫剤で駆除します。 |
カイガラムシは白い貝殻状の虫です。樹液を吸ってバラを弱らせ、美観が損なわれます。また、病原菌を運んでバラの病気を誘発する可能性もあります。
バラの葉っぱや枝、株元に白い貝殻状のものが付着していたら、カイガラムシが寄生している可能性があるでしょう。
バラに与える影響 |
樹液を吸ってバラを弱らせ、病気を誘発します。 |
対策 |
幼虫は殺虫剤で駆除します。成虫はロウ物質で覆われて薬剤が効きづらいため、ブラシや洗浄機で洗い流すか、発生した枝葉を切りましょう。 |
カミキリムシは、幼虫・成虫ともに害を与える虫です。成虫はバラの枝を食べ、株元に卵を産みつけます。そして、卵から孵化した幼虫はバラの根や茎のなかを食害し、長期的にダメージを与えます。
成虫を見つけたら駆除が必須ですが、 すでに産卵している可能性もあるため、卵や幼虫がいないかも確認しましょう。株元に食べかすの木くずが落ちていた場合は、幼虫が潜んでいる可能性があります。
バラに与える影響 |
成虫・幼虫ともにバラを食し、長期的なダメージを与えます。 |
対策 |
針金などを使用して除去、または殺虫剤で駆除します。 |
コガネムシは、幼虫・成虫ともに被害を与えます。成虫は葉っぱや花を、幼虫は土のなかで根を食して、長期的なダメージを与える虫です。
幼虫・成虫ともに、見つけたらすぐ駆除しましょう。成虫は卵を産みつけている可能性が高いため、卵や幼虫がいないかもチェックします。
バラに与える影響 |
幼虫・成虫ともにバラを食してダメージを与えます。成虫はバラに卵を産みつけます。 |
対策 |
虫取り網などで除去、または殺虫剤で駆除しますが、成虫は薬が効きにくいものです。鉢植えの際に幼虫が見つかったら、土を入れ替えましょう。 |
クロケシツブチョッキリは、バラゾウムシともいう3mm程度の黒っぽい虫で、鼻先が長いのが特徴です。
茎や花梗(花の柄の部分)に穴を空け、卵を産みつけます。穴を空けられた箇所は弱り、蕾が被害に遭うと咲かなくなります。
バラに与える影響 |
茎や花梗(花の柄の部分)に穴を空けて卵を産みつけます。穴が空いたところが弱り、被害を受けた蕾は花が咲きません。 |
対策 |
枝を揺らして直接除去し、被害を受けた花や蕾、茎を処分して被害の拡大を防ぎます。 |
ハダニは葉裏に住み着いて、葉を吸う虫です。吸われた葉は葉緑素が失われて白い斑点ができ、バラの生育を阻害して、葉っぱの色を損ないます。
小さな虫であるため見つけにくく、気付いたときには大量発生しているケースが少なくありません。
バラに与える影響 |
葉っぱの吸われた部分は葉緑素が失われ、白い斑点ができます。バラの生育を妨げ、美観を損ねます。 |
対策 |
水を嫌うため葉裏を定期的に洗い、殺虫剤を散布します。 |
チュウレンジハバチの幼虫は、頭に黒っぽい光沢のあるアオムシで、若葉を食害します。
成虫は1.2cmほどの大きさでバラに直接的な被害は与えませんが、メスがバラの若枝に卵を産みつけます。孵化した幼虫がバラの葉っぱを食い荒らすため、成虫を見つけたら卵とともに駆除しましょう。卵を産みつけているときは動きが鈍いため、捕まえやすくなります。
バラに与える影響 |
幼虫はバラの若葉を食べて生育を妨げます。成虫は直接被害を与えませんが、卵を産みつけます。 |
対策 |
卵を見つけたら潰し、幼虫・成虫は割り箸などで除去、または薬剤で駆除します。 |
ヨトウムシはヨトウガともいい、漢字では「夜盗虫」や「夜盗蛾」と書きます。その名のとおり、夜に活動し、植物の葉っぱを食い荒らして生育を阻害します。
バラの葉っぱに食べられた形跡があったら、卵や幼虫が葉裏にいないか確認しましょう。昼間は土中に隠れているため、夜を待って駆除します。
バラに与える影響 | バラの葉っぱを食い荒らして生育を妨げます。 |
対策 | 卵や幼虫を見つけたら除去、殺虫剤で駆除。ネットなどを設置して成虫を寄せつけない方法もあります。 |
バラにつく虫への効果的な対策は5つ挙げられます。状況に合わせて複数の対策をとり、予防や虫退治をしましょう。
ネットでバラを覆い、飛んでくる虫が葉っぱや花につかないようブロックします。反射光や特定の色が苦手な虫もいるため、虫除けに適した商品を選びましょう。
ただし、この方法では土のなかや鉢の底穴から侵入する虫を防げません。ネットをかけたからといって、虫のチェックは怠らないようにしましょう。
バラに虫がついているのを見つけたら、早急に捕獲して処分しましょう。数が増えてからでは被害が広がり、対処に手間取ります。
アブラムシなどの小さな虫は粘着テープを使ったり、集まっている葉っぱを切り取ったりして処分しましょう。ある程度大きいサイズの虫は、割り箸でつまみ取ったり、虫取り網で捕まえたりして処分します。
小さい虫は水で洗い流すか、ハケやブラシでこすり落とすなどの対処法も有効です。
ただし、強い力を加えるとバラを傷める恐れがあるため注意しましょう。また、洗い流す際に水をかけすぎて多湿になると、病原菌が繁殖する可能性にも注意が必要です。
鉢植えのバラは定期的に土を入れ替え、土のなかに虫が入っていないかを確認し、繁殖と被害の拡大を防ぎましょう。
植え替えはバラの休眠期にあたる12~2月頃に行なうと、バラへの負担が少なく済みます。
手作業で除去が難しいなら、殺虫剤を散布して虫を退治しましょう。また、害虫に対し予防効果がある薬剤を撒いて、虫がつきにくい環境を作ることも大切です。
虫の種類により有効な成分が異なるため、薬剤に使われている成分を確認したうえで使いましょう。薬剤の散布は、基本的には、風のない晴れた日の朝に薬剤散布するのが一般的です。ただし、朝露で葉っぱが湿っていたり、日差しが照り付ける真夏などは、夕方に散布したほうが良い場合もあります。
なお、薬剤の使用時は肌にかからないように、手袋・マスク・メガネなどを身に着けてガードし、適切な使用量を守りましょう。
バラにつく虫に対して有効な殺虫殺菌剤を紹介します。
殺虫殺菌剤は虫の発生箇所に直接吹きかけるスプレータイプのほか、土に混ぜて虫を予防できる粒剤もあります。
「ベニカXネクストスプレー」は、5種類の成分を配合したスプレータイプの殺虫殺菌剤です。スプレータイプで散布しやすく、バラにつく虫の退治だけでなくバラの病気治療・予防にも効果を発揮します。
アブラムシやハダニに効くほか、アザミウマ、チュウレンジハバチ、コガネムシ類成虫にも有効です。雨にも強く、効果が長続きし、薬剤が効きにくい虫にも効果があります。
「マイローズベニカXファインスプレー」は、花や緑の幅広い植物に使える殺虫殺菌剤です。スプレータイプなので、そのまま吹きつけて使えます。
バラにつく虫への即効性と持続性があり、アブラムシに対しては効果が約1ヵ月間持続します。また、病気予防にも有効です。殺菌成分メパニピリムが葉裏まで浸透し、病原菌の侵入を防ぎます。
マイローズベニカXガード粒剤は、粒タイプの殺虫殺菌剤です。バラを植えた土に撒くだけで、殺虫成分が根から吸収され、害虫や病気を1ヵ月間予防します。
アブラムシやコガネムシ類の幼虫、アザミウマ、チュウレンジハバチ、カイガラムシなどに有効です。
バラに虫がつくと、枝や葉っぱ、蕾、花が食害にあって美観を損なうだけでなく、バラの生育を妨げます。虫が病気の原因を運ぶこともあるため、健康で美しいバラを育てて鑑賞するには、虫への対策が欠かせません。
虫を見つけたら早急に駆除し、寄せつけないための予防策も実施しましょう。虫が大量発生している場合は除去に手間がかかるため、殺虫殺菌剤の活用がおすすめです。
バラにつく虫に有効な薬剤を使い、バラの栽培を楽しみましょう。