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知っておきたい園芸情報 - 園芸コラム枝豆にカメムシがついてしまうのはなぜ?駆除方法や予防対策について徹底解説

目次

枝豆にカメムシがついてしまう原因は?枝豆の収穫期とカメムシの生態

まず、枝豆にカメムシがつきやすい理由について、枝豆の収穫期とカメムシの生態という観点からみていきましょう。

カメムシは温暖な気候を好み越冬も可能

カメムシは、温暖な気候や日当たりの良い場所、光を好む昆虫です。冬の時期は寒さをしのぐため、落ち葉や樹皮の下・壁やサッシの隙間などに入り込み、成虫の状態で越冬します。

そして、越冬したカメムシは春になり暖かくなってくると、隠れていた場所から出てきて活動を開始します。

枝豆も、発芽温度25~30度・生育適温20~25度と温暖な気候が生育に適しており、寒さには弱いという性質があります。そのため、同じような環境を好むカメムシに狙われやすくなっています。

カメムシはマメ科を含む多くの植物を好む

前述のとおり、枝豆はカメムシが好む植物の一つです。カメムシはさやに口針を刺し、成虫に限らず幼虫も豆から栄養を吸い取ります。食害された枝豆の実は、それ以上大きくなることはできず、実の入りが悪くなります。

なお、カメムシはマメ科の植物だけでなく、ナス科・イネ科・セリ科・アブラナ科の植物、果樹類、スギやヒノキの実など多種多様な植物を好みます。

枝豆の収穫期である7~9月はカメムシが最も活発に活動する時期

枝豆の収穫期は早ければ6月中旬~7月上旬、標準的なもので7~8月、遅まきのもので9月中旬~10月中旬です。

一方、カメムシは寒さを嫌うため、暖かくなる春先から活動し始めます。最も活発になるのが7~9月で、秋頃から越冬場所を探すようになります。

このように、カメムシの活動時期でもある7~9月はちょうど枝豆の収穫時期に該当しているため、食害にあいやすいのだといえるでしょう。

カメムシは繁殖力が強い

カメムシの寿命は1年半ほどといわれていますが、その繁殖力は強いものです。春先から活動を開始して4月頃から繁殖期を迎え、5~8月に産卵し、卵は1週間から10日ほどで孵化します。さらに、幼虫は1ヵ月ほどで成虫となり、秋を迎えるまでに何度か産卵します。

このように、カメムシは卵から成虫になるまでの期間が比較的短く、寿命を迎えるまでに複数回産卵をするため、どんどん数が増えていきます。

カメムシは飛ぶ力も強い

カメムシの成虫は飛ぶ力も強く、生息に適した環境や好みの植物があると遠方からでも飛んできます。カメムシの種類にもよりますが、1日に数キロ飛ぶといわれています。

寒さをしのげる物陰で越冬したあと、暖かくなると隠れていた場所から出てきて、より快適な環境やエサを求めて移動します。

もし、枝豆を植えている畑の近くに、雑草だらけの空き地や雑木林などカメムシの越冬や繁殖に適した場所があれば、そこから飛んできてしまうかもしれません。

枝豆をカメムシに食害されるとどうなる?

枝豆の花が終わってさやができる頃、そのさやの養分をカメムシに吸われると実の入りが悪くなってしまいます。最悪の場合、さや自体の生長が止まり、落下してしまうでしょう。

また、豆が大きくなっていく過程で養分を吸われた場合は、その形が不規則にゆがんだり、一部が褐色に変色したりします。味も悪くなってしまうため、カメムシの食害にあったさやは取り除いてください。

枝豆についたカメムシの駆除方法

では、枝豆についてしまったカメムシを駆除するには、どうしたらよいのでしょうか。

対処法は、基本的に「殺虫剤を散布する」「物理的な方法で捕殺する」の2つです。以下にて詳しく紹介します。

殺虫剤を散布する

駆除方法として簡単なものは、殺虫剤の散布です。

カメムシは強い刺激を与えると悪臭を放つ性質があり、下手に処理すると大変なことになってしまいます。多数のカメムシが集まっている、または広範囲に発生してしまっている場合は、殺虫剤の散布による駆除が最も有効でしょう。

なお、殺虫剤は散布可能な回数や時期が薬剤によって異なる点に注意してください。使用する薬剤や発生状況にもよりますが、1回ですべての駆除が難しい場合は複数回散布しましょう。

枝豆についたカメムシに有効な殺虫剤はこちら>>

ピンセットやペットボトルを用いて捕殺する

駆除したいカメムシの数が少ない場合は、道具を用いて捕殺してしまう方法もあります。

具体的な方法は下記のとおりです。

  1. 500ml程度のペットボトルを、ふたの部分から1/3ほどの長さのところでカットする

  2. 切り取った上部1/3のパーツを、ふた部分を下にして、残った下部2/3の部分へはめ込む

  3. 上部と下部の継ぎ目部分をテープで留める(ペットボトルの開口部から下部へ、捕獲したカメムシが落ちていく構造の容器が完成)

  4. 割り箸やピンセットなどを用いたり、枝豆の株を揺らしたりして、カメムシをこの容器に追い落とす

  5. すかさず台所用洗剤を中に注ぎ、上部をラップで塞ぐ(台所用洗剤はあらかじめ入れておいてもよい)

この方法のメリットは、臭いを放たれるリスクが少なく、身近なものでカメムシを駆除できる点です。作業は、カメムシの動きが鈍くなる早朝や夕方に行うとよいでしょう。

ただし、カメムシの数が多いと手間がかかりすぎるというデメリットもあります。カメムシの数が多い場合や発生範囲が広い場合は、殺虫剤を用いた方法を検討してください。

枝豆にカメムシがつくのを予防する方法

前項で紹介したように、多数もしくは広範囲に発生してしまったカメムシは、基本的に殺虫剤で駆除することになります。駆除の手間を減らすには、そもそも発生させないようにする必要があるでしょう。

ここでは、枝豆にカメムシがついてしまうのを防ぐ方法を紹介します。

防虫ネットをかける

枝豆の花が咲く頃になると、カメムシが卵を産み付けるために寄ってきやすくなります。そのため、その前から防虫ネットをかけておくのが効果的です。防虫ネットは、マメシンクイガなどほかの害虫にも効果があります。

ただし、防虫ネットはカメムシがついてしまう前に設置しなければなりません。カメムシがついてしまったあとでは、逆にネットの中でカメムシを飼っているような状態になってしまい逆効果です。

周辺環境に対して越冬・繁殖するカメムシが寄ってこないよう対策をしておく

越冬・繁殖するカメムシが近づかないよう、周辺環境を整えておくのも効果的な対策です。

草がうっそうと生えていたり、落ち葉が積もっていたりするような環境は、カメムシの越冬・繁殖場所として狙われやすくなります。そのため、枯れ葉を片付けたり、周辺を除草したりするなど、定期的にきれいにしておきましょう。

また、家のベランダや庭で枝豆を育てている場合は、家の中や周りでカメムシを見かけたときに駆除します。カメムシをガムテープに貼り付けて丸めて、そのままゴミ箱へ、またサッシや外壁の隙間などには、予防効果のある薬剤を散布しておくのも効果的です。

枝豆の株やその近辺に薬剤を散布する

枝豆の花が咲く頃、その株と近辺に予防効果のある薬剤を散布しておくこともおすすめです。用法・用量を守って使用すれば、ある程度確実な効果が見込めます。

また、カメムシが嫌う匂いを持つ、木酢液・ミント・ハッカ・コーヒー・唐辛子などを活用するのもよいでしょう。しかし、これらは効果を発揮する期間が短く、散布してもすぐにカメムシが飛来してくる、といった声もあります。豆類とミント類を一緒に栽培する方法もあります。

そのため、収穫までの間に枝豆が食害されないよう、こまめな散布が必要です。ただし、やりすぎると枝豆が弱ってしまう可能性もあるため、適切な量と濃度、頻度で散布しましょう。

窒素肥料を与えすぎない

植物の生育に欠かせない窒素肥料ですが、カメムシ予防のためには、パッケージに記載の量を参考に適切な量を与えることが大切です。

枝豆に限らず多くの植物は、窒素肥料を与えすぎると、茎や枝が細長く伸びた軟弱な株になってしまいます。抵抗力が下がることで害虫が寄ってきやすくなり、病気にもかかりやすくなるため注意しましょう。

カメムシが嫌う植物を近くに植える

ミント・ハッカ・マリーゴールドなどのカメムシが嫌う植物を一緒に植えたり、その鉢植えやプランターをそばに置いたりするのも一つの方法です。

ただし、ミントは繁殖力が非常に強く、近年では繁殖力が強く、ミントテロと呼ばれ敬遠されがちです。必要以上に繁殖してしまうと除草に多大な労力がかかるため、枝豆と一緒に適切な量を育てるのは、生育に慣れていないと難しいかもしれません。

ほかの植物に関しても、カメムシ対策として有効かどうかは枝豆と一緒に植える割合や生育環境に左右されます。事前にしっかりと確認して、慎重に進めるようにしましょう。

枝豆についたカメムシの駆除や予防に効果的な殺虫剤

最後に、枝豆についたカメムシ駆除や予防に効果的な殺虫剤を紹介します。

カメムシの駆除に確かな効果「ベニカVフレッシュスプレー」

「ベニカVフレッシュスプレー」は枝豆に直接散布するタイプの薬剤です。3つの有効成分の確かな効果により、予防と駆除の両方が可能です。

カメムシ対策であれば、予防のために種まき時に1回、その後は3回散布でき、収穫の3日前まで使えます。

害虫にすばやく長く効き、薬剤抵抗性害虫にも効果がある点もメリットの一つでしょう。殺虫・殺菌成分が植物に浸透移行するので、雨が降っても効果は切れません。カメムシ以外の病害虫としては、アブラムシやハダニ類、うどんこ病にも効果を発揮します。

【適用害虫】カメムシ、アブラムシ類、コナジラミ類、アオムシなど

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越冬・繁殖するカメムシ対策に「カメムシアタッカーEX」

「カメムシアタッカーEX」は家の中や周辺に現れたカメムシの駆除、カメムシの越冬・繁殖予防に有効な薬剤です。

速殺効果と約4ヵ月の効き目を兼ね備え、駆除と越冬・繁殖予防が同時にできます。2つの有効成分で嫌な臭いを出すカメムシをすばやく駆除し、侵入を食い止めます。

薬剤の匂いがほとんど残らず、かかった場所も汚れにくいです。サッシ・壁や戸袋の隙間・換気口など、いろいろな場所に使える便利な製品です。

【適用害虫】カメムシ、ガ、クモ

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まとめ

枝豆の収穫時期に活発に活動するカメムシは繁殖力が強く、臭いを出さないよう駆除するのは困難です。食害されるとその枝豆は生育不良となり、味にも影響してしまいます。

このように厄介な害虫であるカメムシから枝豆を守るには、そもそも発生させないようにすることが欠かせません。

枝豆にさやがなる前に予防効果のある薬剤を散布するなど、越冬・繁殖するカメムシが寄ってこないような環境づくりを徹底しましょう。

また、大発生してしまった場合には、殺虫剤の利用がおすすめです。予防や駆除にうまく薬剤を利用して、おいしい枝豆を育てましょう。

監修 矢澤 秀成(やざわ・ひでなる)
園芸研究家、花菜ガーデンヘッドガーデナー。愛称「ほそめ先生」。種苗会社にて野菜と花の研究をしたのち独立。植物園や肥料会社、造園会社などの顧問を歴任。またNHKテレビ「趣味の園芸」、「あさイチ(グリーンスタイル)」などの講師を務め、家庭園芸の普及に幅広く活躍する。「趣味の園芸」(NHK出版)、「園芸入門」(同)、「プリムラの育て方」(同)、園芸の基本帖」(KADOKAWA)など、執筆多数。

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