メインコンテンツに
移動する

知っておきたい園芸情報 - 園芸コラムパキラに元気がない・枯れそうなときはどうする?7つの原因・対処法と育て方のコツ

パキラは生命力が強く育てやすいことから、観葉植物を初めて育てる方にも人気の植物です。

しかし、育てやすいといっても、栽培方法を誤ると元気がなくなり、枯れてしまうこともあります。パキラを長く元気に育てるために、元気がないときの対処法と栽培のコツを押さえておきましょう。

本記事では、パキラの元気がない場合の原因を7つ解説し、それぞれの対処法を紹介します。パキラの害虫対策に使える薬剤も紹介しますので、ぜひ活用してください。

目次

知っておきたいパキラの基本

パキラは中南米の熱帯地域を原産とする植物です。果樹や木材にする目的で台湾に輸入されたあとに、日本でも観葉植物として輸入されました。

一般的に観葉植物として育てられるパキラは、苗を複数編んだものや幹の基部がふくらんでいるものです。高さは10cm程度の小型のものから、200cmの大型のものまであります。

しかし、本来のパキラは樹高が20mにもなる高木です。葉は光沢のある先端の尖った長楕円形で、幹は成長するにつれて緑色から灰緑色に変わります。また、原産が熱帯地域のため暖かい場所を好み、夏の間は成長が活発になります。

パキラは、生命力の強さや生育の早さ、病害虫の少なさから、初心者でもチャレンジしやすい観葉植物として人気があります。

パキラに元気がないときの7つの原因と対処法

育てやすいといわれるパキラでも、手入れを誤ると枯れてしまうことがあります。ここでは、パキラに元気がないときの対処法を以下の7つの原因別に分けて紹介します。

  1. 日当たりが悪い・日当たりが良すぎる

  2. 水不足

  3. 気温が低い

  4. 根腐れ

  5. 根詰まり

  6. 病害虫

  7. 肥料焼け

症状に合わせて早めに対処することで、生育への影響を最小限に抑えられる可能性があります。症状をじっくり観察して、気になることがあればすぐに対応しましょう。

原因①|日当たりが悪い・日当たりが良すぎる

熱帯地域原産のパキラは日光を好み、日当たりが悪いと生育に影響が出る可能性があります。一方で、パキラは夏の直射日光のような強い光には弱いため、日当たりを重視して日光を当てすぎないようにすることも大切です。

日当たりが悪い、または日当たりが良すぎる場合の症状と対処法をみていきましょう。

・症状

日当たりが悪いと、茎が細く伸びきったり、葉が黄色くなったりします。対して、日当たりが良すぎると直射光によって葉焼けを引き起こし、やがて葉が枯れ落ちます。

日当たりの影響は茎や葉に症状が出やすいため、日頃からこれらをよく観察しておきましょう。

・対処法

日当たりが悪く茎が伸びきってしまっている場合は、茎を切り戻し剪定しましょう。伸びた茎をそのまま放置すると、見栄えも悪く折れやすくなってしまいます。

剪定が済んだら、日当たりの良い場所へと徐々に移動させましょう。日光が強すぎる場合は、レースカーテン越しに日光を当てるなどして調整する必要があります。直射日光が当たらない場所へ移動させつつも、生育環境を急激に変化させるのは良くないため、徐々に新しい環境に慣れさせることが大切です。

原因②|水不足

パキラは水やりを頻繁に行う必要がない植物のため、水やりを忘れてしまい、水不足になってしまうこともあるでしょう。水不足の場合の症状と対処法を紹介します。

・症状

水不足になると、葉がしおれて垂れ下がる、葉が茶色になる、葉にハリがなくなる、枯れた葉が根元から取れるなどの症状が見られます。また、土の表面が著しく乾燥している場合にも、水不足を疑いましょう。

・対処法

水不足の場合は、鉢の底から水があふれるほどに、たっぷりと水を与えてください。パキラは4月から9月にかけてよく育つため、この時期は水やりの頻度を上げて、土が乾くたびに水を与えましょう。冬は水をあまり必要としなくなるため、水を与えすぎないように水やりの頻度を落とします。

水不足でパキラが枯れかけていても、早めに適切な対処をすれば復活するでしょう。ただし、水をやりすぎると、後述する根腐れが起きてしまう可能性があるため注意してください。

原因③|気温が低い

熱帯地域が原産のパキラは、寒さに弱く暖かい環境を好みます。気温が低い環境での症状と対処法をみていきましょう。

・症状

パキラは気温5度を下回る環境では弱ってしまい、葉が茶色くなったり、葉が落ちたりします。また、株の小さいパキラだと、冷暖房の影響で室温の上下が激しい場合にも弱ってしまうことがあります。

葉の変色が見られたら、室温に注意しましょう。

・対処法

気温が低い時期は暖かい室内で育て、室温が5度を下回ったり、室温が急激に変化したりしないようにしましょう。特に厳寒期は外気の影響で窓際や壁際はかなり冷えています。同じ室内でも場所によって温度が異なる場合があるため、部屋のなかでの置き場所にも注意してください。直接、冷暖房の風が当たるような場所も避けることが大切です。

なお、気温の低さによって葉が枯れてしまっていても、株が生きていれば新芽が出る可能性があります。生育環境を見直し、回復を待ってみてください。

原因④|根腐れ

根腐れとは、水やりのしすぎや水はけの悪さによって植物の根が呼吸できない状態になり、根が腐ってしまうことです。根が腐ると根から水分や栄養などを吸収できなくなり、やがて影響が株全体に広がっていきます。

・症状

根腐れの症状には、幹がブヨブヨまたはスカスカになって触ると崩れる、葉にハリがなくなる、葉の表皮が黒茶色になり変なにおいがする、根が黒く変色するなどがあります。コバエが発生している場合にも根腐れを疑います。

根の状態は確認が困難なため、根以外の状況から根腐れかどうかを判断するとよいでしょう。

・対処法

根腐れのおもな原因は、水のやりすぎや水はけの悪さです。症状が軽度な場合は、日当たりや風通しの良い場所で、鉢土を乾燥させるのも効果的です。それでも症状が改善しなければ、植え替えを検討しましょう。

植え替えをする場合は、鉢から出して根を乾かしたうえで症状が出ている根・茎を除去し、土を入れ替えます。

根腐れによって枯れた部分は、健康な状態に戻りません。症状を早期に発見できれば改善の見込みがあるため、普段から幹に触れるなどして状態をチェックしておきましょう。

原因⑤|根詰まり

長い期間、植物を同じ鉢で育てていると根が鉢の中で伸び続けて詰まり、水分や栄養を吸収できなくなります。この状態を「根詰まり」と呼び、パキラにも起こりうるため、根詰まりへの対策が必要です。

・症状

根詰まりが起こると、水分や栄養を適切に吸収できなくなり、葉がしおれることがあります。また、根が鉢内に密集して土が乾きにくくなり、根が窒息して根腐れを引き起こすこともあります。

・対処法

根詰まりが発生したら、苗を一回り大きな鉢に必ず新しい用土を用いて植え替えましょう。パキラは2~3年で鉢内が根でいっぱいになってしまうため、定期的に植え替えることで根詰まりを未然に防げます。

幼苗の時期は特に根詰まりを起こしやすいため、幼苗の間は植え替えの頻度を高めたほうがよいでしょう。

原因⑥|病害虫

病気や害虫が原因で、パキラの元気がない場合もあります。代表的な病害虫による症状と対処法をみていきましょう。

・症状

パキラで注意すべき害虫としてはハダニとコナカイガラムシ、病気としてはすす病が挙げられます。それぞれの特徴と症状は以下のとおりです。

病害虫

特徴

症状

ハダニ

成虫で体長0.5mm程度の小さな虫。おもに葉裏に寄生し、植物から吸汁して繁殖する。梅雨明けから9月頃にかけて多く発生する。

吸汁された部分の葉は葉緑素が抜け、葉の表からは白い斑点が生じたように見える。進行すると葉の色が悪くなる。また、クモの糸のようなものがつく。

コナカイガラムシ

体長2~3mmで、白い粉状のものに覆われた見た目をしている。植物に寄生して吸汁する。繁殖力がとても強く、室内に置いている植物は一年中注意すべき害虫。

白い綿のようなものが、葉裏や茎の付け根などにたくさんつく。吸汁されると植物が弱り、枯れることもある。排せつ物により、すす病の原因菌が付着しやすくなる。

すす病

カビの一種で、害虫の排せつ物などを養分として広がる。

葉や枝などがすすに覆われたように黒くなり、放置するとどんどん被害が広がる。被害が進行すると、葉が蒸散や光合成をできなくなり、枯死につながる。

・対処法

ハダニ、コナカイガラムシ、すす病が発生した場合の対処法は以下のとおりです。

病害虫

対処法

ハダニ

被害を受けて傷んだ葉は取り除く。葉をウェットティッシュなどで優しくふき、ハダニを駆除する。ハダニを予防するために、パキラに霧吹などで水を吹きかける。

コナカイガラムシ

葉を濡れた布で優しくふいたり、枝や幹を歯ブラシで傷つけないようにこすったりして駆除する。幼虫が死骸のなかにいる可能性があるため、死骸は鉢に残さず、すべて取り除く。

すす病

被害を受けた葉はウェットティッシュで優しくふき取る。それでも黒いすすが取れない場合は薬剤を散布する。

害虫の被害でパキラの元気がないようなら、観葉植物用の殺虫殺菌剤を用いて対処してみましょう。

「元気がないパキラにも使えるおすすめの殺虫剤はこちら>>

原因⑦|肥料焼け

肥料の与えすぎや濃度のミスなどにより発生する肥料焼けも、パキラの元気がなくなる要因の一つです。肥料焼けによる症状と対処法をみていきましょう。

・症状

肥料焼けが発生すると、根が水分を吸収できなくなって水分不足になり、葉がしおれて垂れ下がります。また、根から栄養が吸収できないことで葉緑素が減少していき、葉が白くなることもあります。肥料焼けによって根が傷み、根も黒く変色してしまいます。

・対処法

肥料焼けが発生したら、まずは新しい土を使って植え替えを行いましょう。そして、乾燥を防ぎつつ肥料濃度を下げるために水を与えます。

パキラは肥料を与える期間が、4~9月の生育期のみと限られています。肥料焼けにならないようにするには、肥料を根から離れた位置に与え、使用量・回数・濃度を守るようにしましょう。

パキラを元気に育てるコツ

パキラを元気に育てるためのポイントを、日光・水分・肥料・土・気温・管理の6項目に分けて紹介します。ポイントを押さえて、生育環境を適切に整えましょう。

項目

ポイント

日光

直射日光は避け、レースカーテン越し程度の光を当てる。屋外で育てる場合は葉焼けを起こさないよう、日差しの当たり方に注意する。

水分

乾燥気味でも問題ないため、春・夏は土の表面が乾いたらたっぷりと、冬は土の表面が乾いてから2~3日後に一回水を与える。葉にも霧吹などで水を与える。

肥料

生育期である4~9月にのみ、効果が徐々に表れる緩効性肥料を与える。

水はけの良い土を配合し、鉢底には鉢底石を入れる。

気温

最低でも気温10度以上をキープし、冬は室内で育てる。冷暖房の風が直接当たらない場所に置く。

管理

剪定は4~7月に行う。植え替えは5~7月に、できれば年1回、少なくとも2~3年に1回の頻度で行う。

元気がないパキラにも使えるおすすめの殺虫剤

パキラに害虫がつかないよう予防できる殺虫剤として「MY PLANTS 虫からやさしく守るミスト」を紹介します。MY PLANTS 虫からやさしく守るミストは草花や観葉植物、庭木、花木に使用できる薬剤です。

作用の異なる2つの殺虫成分を配合しており、即成分はカイガラムシに、浸透移行性成分がアブラムシに効果を発揮します。

【適用害虫】ケムシ類、イラガ類、カイガラムシ類、ハダニ類など

6000

先述のように、パキラにはハダニやコナカイガラムシなどの害虫による被害が発生する可能性があります。害虫のなかには繁殖力が強く、早めに対処しないと株全体やほかの植物にまで影響が出てしまうものもいるため、害虫を発見したらすぐに対処しましょう。

薬剤の使用は有効な害虫対策の一つです。パキラの状況をよく観察して害虫の予防・早期発見に努め、見つけたら薬剤を使用するとよいでしょう。

まとめ

パキラは育てやすさが魅力の観葉植物ですが、手入れ方法を誤ると元気がなくなってしまいます。パキラの基本的な生育方法を知り、日常的に葉・茎の様子や土の状況、室温などをチェックして、パキラが元気に育てる環境にしましょう。

パキラの害虫対策には、薬剤を使用するのがおすすめです。「MY PLANTS 虫からやさしく守るミスト」は作用の異なる2つの殺虫成分で、植物を害虫から守ります。使用方法や回数などを確認し、パキラの状態をよく見て使用してください。

監修 飯島 健太郎(いいじま・けんたろう)
東京都市大学 環境学部長・教授、グリーンアドバイザー園芸ソムリエ。 12歳からサボテンに興味を持ち、栽培や寄せ植え、空間演出などを楽しむ。 現在は、従来の園芸を超えた人の生活質の向上に役立つ植物の活用、屋上面や壁面の緑化など都市気候の緩和策としての植物の活用に関する研究に携わっている。 日本造園学会賞/研究論文部門受賞、東京農業大学造園大賞受賞。著書は『新しい都市緑化・ガーデニング材料/多肉植物』(1999、ソフトサイエンス社)、『サボテン大好き』(2002、講談社)、『サボテンライフ』(2006、山海堂)、『多肉植物の名前400がよくわかる図鑑』(2015、主婦と生活社)、『都市5.0/アーバン・デジタルトランスフォーメーションが日本を再興する』(2020、分担執筆、翔泳社)など。

その他のコンテンツ