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カメムシは農作物や日常生活に影響を与える害虫です。これまでも農作物などへの影響が懸念されてきたカメムシですが、近年では大量発生により農作物や生活への被害がこれまで以上に拡大するケースが増えています。
そもそも、カメムシはなぜ大量発生するのでしょうか。大量発生の背景には、暖冬や温暖な春などがあると考えられています。カメムシの被害を防ぐためにも、カメムシの生態と防除方法を知り、早めに対策しておきましょう。
本記事ではカメムシの生態やカメムシによる被害を解説し、カメムシによる被害を防ぐ方法を紹介します。
カメムシが大量発生する原因とその対処法を解説するまえに、まずはカメムシがどのような虫なのかを解説します。生態や種類を知っておくと、より効果的な防除につながります。
カメムシは年に1~3回程度発生し、特に4月から10月に発生しやすい虫です。触れると脚の付け根部分から特有の悪臭を放ち、その悪臭から別名「ヘコキムシ」とも呼ばれています。
カメムシは普段は山林に生息しており、市街地に飛来して果樹などの農作物を加害します。幼虫はスギやヒノキの実、成虫は果樹を含む植物の実を幅広く摂食し、なかには害虫を捕食するものもいますが、吸汁性害虫として扱われるのが一般的です。
越冬した成虫は春に山へ移動し、夏にスギやヒノキの球果を摂食して繁殖します。秋になると成虫が山から農地や市街地へ飛来し、山林や住宅地(家屋の中)などの広い範囲で越冬します。
カメムシが繁殖や越冬などの過程で生活場所を変える際、一部が農作物を加害したり住宅に侵入したりしているのです。
カメムシの種類は日本では1,300種以上あるとされています。なかでも代表的な種であるマルカメムシ、クサギカメムシ、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシの4種の特徴を見ていきましょう。
カメムシのおもな種類と特徴
種類 |
特徴 |
マルカメムシ |
体長5mmほどの食植性のカメムシです。全体が丸い形状をしていて、背面は暗黄褐色で光沢があり黒い点が密にある。ダイズやアズキ、クズ、ハギといったマメ科の農作物を好んで食べ、繁殖力が非常に強いという特徴を持ちます。 |
クサギカメムシ |
成虫の体長が15mm前後の食植性カメムシです。暗褐色の身体にまだら模様が入っており、豆類のほか、ミカンやモモといった果実の汁も吸います。農作物を害する虫として非常に重要な農業害虫と位置づけられています。 |
チャバネアオカメムシ |
体長10~12mmで、光沢のある緑色の身体と茶色の翅を持つ食植性カメムシです。多くの植物を害し、特に種子や果実を好みます。夜中に灯火に集まり、屋内に侵入して悪臭被害を発生させることがあります。 |
ツヤアオカメムシ |
成虫の体長が約15mmの食植性カメムシです。光沢の強い緑色で、キリやクワなどの樹木に生息します。果樹を含む植物の実を食べ、光に集まる習性があり、家屋に浸入することもあります。 |
カメムシはなぜ大量発生するのでしょうか。カメムシの大量発生の原因は季節によって異なります。大量発生の原因を、春から夏に発生するケース、夏から秋に発生するケース、秋に発生するケースの3つに分けて見ていきましょう。
春から夏にカメムシが大量発生する要因の一つは暖冬です。カメムシは成虫で越冬しますが、暖冬になると越冬する成虫の生存率が高まります。越冬した成虫は春になると山林でエサを探し始めますが、成虫の数が多いため山林でのエサが不足し、エサを求めてカメムシが市街地に飛来するのです。
また、春先の高温により、エサとなるスギやヒノキの球果の成長が早まってエサが不足し、市街地に飛来する場合もあります。
さらに、春から夏にかけて天候に恵まれると、エサとなるスギやヒノキの球果が増え、越冬成虫が増加し、翌年の春に飛来する数が増えるケースもあるのです。
夏から秋にかけて、台風などの自然災害により山林の球果が減少すると、多くのカメムシがエサを求めて市街地へ飛来します。自然災害を機にカメムシが大量発生している場合、発生は一時的で持続しないのが一般的です。
夏にエサとなるスギやヒノキの球果が豊富な場合、繁殖が進んで越冬しようとする成虫が増えます。成虫は暖かさを求めて人家で越冬しようとするため、秋にカメムシの目撃が増え、カメムシがより大量発生しているように感じます。
カメムシがもたらす被害には、果樹などの農作物への加害、悪臭、住宅への侵入があります。それぞれの内容を見ていきましょう。
カメムシはあらゆる農作物を加害しますが、特に、果樹やイモ類、ナス科野菜、豆類などが狙われます。カメムシの吸汁被害により、果実は凸凹や変形し、さらに落果、腐敗といった症状が出ます。また豆類は実の入りが悪くり、新芽は奇形葉になります。
生育不良によって農作物の商品価値が下がってしまうため、近年は、カメムシの大量発生に応じて県が注意報を出し、農家に対して対策を呼びかける事態も起きています。
農林水産省は、有害動植物が農作物に与える影響を最小限に抑えるため、最適な時期に防除できるよう、病害虫発生予察情報を発表しています。カメムシに関する注意報・警報は農林水産省のホームページで確認できるため、気になる方は調べてみるとよいでしょう。
なお、カメムシ注意報・警報は、あくまで農作物の被害に対して注意を促すものであるため、発表された注意報・警報の内容が、農地以外でのカメムシの発生量と一致するとは限りません。
カメムシは、危険を感じると脚の付け根から特有のニオイを出します。ニオイの主成分はアルデヒド類です。刺激性もあるため、ニオイをかぎすぎるのは避けてください。
刺激しなければカメムシが悪臭を発生させることはありません。カメムシを見つけたら、刺激しないよう対応することが大切です。
ニオイ成分は揮発・分解するため、時間経過によりニオイがなくなっていきます。
カメムシは越冬のために家に侵入することが多く、特に、秋はカメムシと屋内で遭遇する機会が増える傾向にあります。また、カメムシは暖かく明るい場所を好むため、日中、外干しした洗濯物にカメムシがつくこともあります。また特に白い洗濯物を好む傾向があるため、シーツやタオル、シャツなどは注意しましょう。フローラル系の匂いを好むため、柔軟剤は無香料などの使用がお勧めです。
カメムシによる被害を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。カメムシへの対処法を3つ解説します。
発生が少ない場合は、箸でつまむなどして物理的に取り除きましょう。ペットボトルなどで捕獲器を手作りしておくと、悪臭の被害を受けずに駆除できます。カメムシを叩いたり潰したり、掃除機で吸い込んだりすると悪臭が放たれてしまうので避けましょう。
また、カメムシは雑草が多いところで繁殖するため、家屋の周りや農地の周りの草を取り除くことで、カメムシの繁殖を防げるでしょう。カメムシの活動が活発化するまえに、雑草対策しておくのがおすすめです。
網戸やサッシ、エアコンのドレーンホース、吸排気口など、家屋のさまざまな隙間からカメムシは侵入します。カメムシが侵入できるような隙間を、テープやパテ、コーキング剤などで塞ぎ、侵入を防ぎましょう。テープやパテはホームセンターなどで購入できます。
農作物への被害を防ぐなら、防虫ネットの利用がおすすめです。作物の種類に合わせてネットを選択しましょう。
カメムシに効く防虫剤や殺虫剤を使用して防除するのも、カメムシ対策の一手です。カメムシに対する薬剤には、散布後効果が持続するものや、農作物に対して使用できるものなど、さまざまな種類があります。散布したい場所や散布する時期などに合わせて最適な薬剤を選択しましょう。
また、カメムシは香りの強いミントなどが苦手とされているため、ハッカ油で忌避剤を手作りすることもできます。使用したい場所や期間に合わせて薬剤を選択するとよいでしょう。
カメムシ被害を未然に防ぎたいなら「カメムシアタッカーEX」をおすすめします。カメムシアタッカーEXは、カメムシ、ガ、クモを対象とした不快害虫殺虫剤です。
シラフルオフェン、モンフルオロトリンの2つの成分で、カメムシを速殺、侵入を防止します。約4ヵ月の残効性で越冬するカメムシにも効果的であり、薬剤にニオイがほとんどなく、薬剤がかかった場所も汚れにくいのが特徴です。
外壁や換気口、網戸、戸袋の隙間、サッシ、玄関周り、ウッドフェンスなど、家のさまざまな場所に散布し、カメムシの被害を防ぎましょう。製品には通常噴射とノズル噴射の2つのノズルが備わっているため、散布場所に合わせて使い分けるのがおすすめです。
なお、カメムシアタッカーEXは不快害虫剤になるため、作物には農薬登録品された薬剤を使用するようにしましょう。
【適用害虫】カメムシ、ガ、クモ
カメムシが大量発生する背景には、暖冬や自然災害によるエサの減少などがあります。カメムシの発生量を正確に予測するのは難しいため、いつ発生しても良いように定期的に対策しておきましょう。
カメムシは幅広い農作物に被害をもたらすだけでなく、家屋に浸入したり悪臭を放ったりするなどの被害も発生させます。カメムシによる被害を防ぐためには、物理的に取り除いたり、テープやパテで家屋への侵入を防いだり、薬剤を使用したりするのが効果的です。
カメムシアタッカーEXなら、カメムシだけでなくガやクモにも対処できます。散布から約4ヵ月も効果が持続するので、家のさまざまな場所で使用し、カメムシによる被害を未然に防ぎましょう。