2021年9月17日配信号 vol.104
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◆◇ガーデニングコラム 「今日もみちくさ」 その99◇◆
秋野菜の多様性
緊急事態宣言下において、今年のお盆の話題は少し淋しいものでした。さらにお盆に合わせたかのように走りの秋雨前線が停滞し、ご先祖さまだけではなく秋まで連れてきちゃったね、なんて話も出たぐらい。
天気が回復し、再びやってきた猛烈な残暑にいながらも、ときおり汗を撫でていく風がこの前までの真夏のそれとは違う感触を得たら、それは秋の初日です。
平穏な毎日が戻ることを祈り続けながらも、生まれたばかりの今年の秋を少しでも楽しみたくて、今月の「みちくさ」を始めます。
◆ キュウリも秋野菜の仲間入り
さっそくやってきた秋の長雨とぶり返す猛暑。きっとしばらくはその繰り返しだろうなと思いながら、貸し農園に立ち寄ってみると、トマトやゴーヤーの支柱の片付けに勤しむ人がいらっしゃいました。
かと思えば隣の区画には、今こそ植えつけられたばかり、仮支柱に支えられ本支柱を待つキュウリの幼苗の姿があり、くたびれたキュウリとは対照的なさまを見せてくれています。
秋キュウリ。近年、そんな名称で呼ばれる苗が、8月ぐらいから園芸店に並んでいるのを見かけるようになりました。初夏に栽培を開始したキュウリがくたびれ始めたころに植えつける作型で、中秋までの温暖な気候を利用して栽培されます。そもそもキュウリはインドのヒマラヤ地方原産の植物で、日本の高温多湿の気候を好むわけではありません。むしろ25℃前後、夜温は15℃程度の気温が適しているので、短い秋のこの気候をうまく利用するというわけです。
秋キュウリには基本的に春植えの汎用品種が利用されていますが、最近、秋キュウリ用の専用品種も開発されているようです。植えつけから収穫終了までが、比較的短期決戦のキュウリならではの特徴とニーズなのでしょう。
なお、同じく初夏植え野菜のトマトにも秋植えトマトなるカテゴリーがあります。しかしながら、未熟果で収穫するキュウリに比べてトマトは、樹上完熟を求めるのが家庭菜園ならでは。そうなると、短日に向かう秋は果実が赤くなるのに日数がかかります。秋トマトに挑戦するなら、8月上旬の立秋ぐらいを目安に植えつけを完了するとよさそうです。
◆ 品種選びで上手に秋を利用する
さて、イレギュラーな秋野菜に続き、今が植えつけどきのキャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワーなどは、秋冬の菜園の本命。暖地なら、ハクサイやブロッコリーはまだタネまきが可能です。作型に合った品種を選び、短い秋の適期を逃さないようにしたいもの。
無理にタネまきをして植え場所が困るよりは、新しい品種を苗で購入してトライするにもよい時期です。カラー系はそのひとつ。ハクサイならオレンジ、キャベツなら青果では高価なレッド、カリフラワーのオレンジなら、茹でても色が残る品種といった具合。
また、使い切りできるミニハクサイ、鈴なりになるミニキャベツ、花蕾がばらけているので調理時に小分けにする手間が省けるブロッコリーやカリフラワーといった形状の新規性、さらに年内収穫可能な極早生のサヤエンドウのような作型など、いずれも使い勝手を目的とした育種は、ニッチながらも野菜が食物であることを見落とさず、調理の現場で作業する人のことに注目した点にいつも感心します。
深まる秋を2021年スタイルに彩るあれこれ。今月は野菜バージョンで考えてみました。制限が多い毎日だけれども、小さな興味が新しい自分の扉を開けてくれますように。
PROFILE
ウチダトモコ[プロフィール]
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主に
ウェブで提案および取材執筆活動中。
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花と緑のメールマガジン vol.104はここまで!次回の配信もお楽しみに!
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発行日:2021年9月17日
発行元:住友化学園芸株式会社ホームページ事務局
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