病害虫ナビモザイク病
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ウイルス病はモザイク病とも呼ばれ、その名の通り、発病すると葉や花弁に濃淡のまだら模様ができ、モザイク状に見えます。その他の症状としては株が萎縮する、葉が縮れたり、小さくなる、黄化する、カスリ状のすじができたり、そばかす状の斑点が多数発生するなど、様々な症状が全身にあらわれるのが特徴です。
ウイルス病の原因となるウイルスは電子顕微鏡でないと見えないくらい微小です。そしてアブラムシが植物の汁を吸う際に一緒にウイルスを吸い込んで、そのまま次の植物を加害することで感染します。このようにほとんどの場合、アブラムシが運び屋となって感染しますが、アザミウマ、コナジラミ、ハダニなどによって媒介されたり、らん類では水で伝染することもあります。その他、剪定バサミを使い回すことで、感染した植物の汁液が健全な植物に接触し侵入するということが洋らん類の株分けの際にあります。ウイルス病は感染すると全身にウイルスが広がるため、感染した植物を挿し芽や挿し木で増やすとウイルスも一緒に増えてしまいます。ただしカビ性の病気のように空気感染することはありません。また、植物と動物では感染するウイルスの種類が違うので、植物に感染するウイルス病が人間に感染する心配はありません。
ウイルス病は感染すると治療する方法は無いので、発病した株は早めに抜き取り処分します。感染予防としてはウイルスを媒介するアブラムシなどを退治することですが、アブラムシがちょっと口針を植物にさし込むだけでも感染すると言われているので、たとえアブラムシを退治しても感染が防げないことがあります。ですから、銀色のシルバーポリマルチなど、アブラムシの嫌いな反射光を利用するなどの工夫も大切です。汁液感染を防ぐには剪定や株分けの際に使用するハサミやナイフを使用毎に熱処理、または第三リン酸ナトリウムの飽和液で消毒します。
植物のウイルス病に関する世界最古の記載は「万葉集」の句の中で「黄葉(モミ)」として登場しますが、これはウイルス病に感染したヒヨドリバナの葉のことだと言われています。江戸時代の園芸ブームではツバキの品種改良が盛んで、その中で斑入りの葉や斑入りの花のものがつくられました。また、ヨーロッパでは18世紀に花弁に斑入りのチューリップが珍重され、非常に高価で取り引きされたこともあります。いずれもウイルス病による症状なのですが、このようにウイルスの感染が直接植物の生育に影響を与えないような場合には、斑入りの珍しい品種として観賞用に珍重されていたようです。ウイルスは感染すると全身に広がりますが、唯一繁殖しない場所があります。それは細胞分裂が盛んな芽や根の先端の成長点です。メリクロン苗という言葉をよく耳にしますが、これはウイルスのいない成長点を培養して育てたウイルスフリーの植物のことです。
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