病害虫ナビカイガラムシ
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直接的な被害と間接的な被害があります。直接的な被害は付着しているカイガラムシそのものが美観を損ねることと、吸汁されるため生育に悪影響を及ぼすことです。寄生数が多いと新梢や新葉の出方が悪くなったり、枝枯れを起こすこともあります。間接的な被害は排泄物の上に「すす病」が繁殖して葉が黒くなることです。美観を損なわれるだけでなく、植物にとって大切な光合成が妨げられ生育が悪くなります。また、枝などの寄生場所にビロード状の物が付着したように見える「こうやく病」を誘発します。変わった被害症状としては枝や幹に5mm前後の円形の白っぽい斑点を生じることがあります。これはカイガラムシが付着していたこん跡です。
カイガラムシといっても大きさや形などは様々です。名前が付いている種類だけでも400種以上おり、実際はその倍くらい存在すると推測されています。カイガラムシを大別すると、成虫になった時に脚が退化して葉や枝に固着する種類と成虫になっても歩き回る種類がいます。前者には丸い偏平な殻を持ったマルカイガラムシ類、牡蛎の形をした殻を持ったカキカイガラムシ類、お椀のように丸く盛り上がったロウムシ類などがいます。後者は殻がなく体表が白い粉状や綿状の分泌物に覆われている種類でフクロカイガラムシ類やコナカイガラムシ類(分泌物を取り除くとワラジムシのような虫がいます)などがいます。アブラムシと比べると繁殖性が悪く、よく繁殖するコナカイガラムシでも年に数回、バラシロカイガラムシで年に2~3回、ロウムシ類では1回の繁殖です。雄がいなくて雌だけで繁殖する種類もいますが、多くはコバエのような翅のある雄がおり、交尾して産卵します。雌成虫は繰り返し産卵せず、産卵後すぐに死ぬ種類もいます。
成虫は殻をかぶったり、ロウ物質で覆われているため、退治の難しい害虫の一つです。歯ブラシなどでこすり落としても退治できますが、葉などを傷つけないようにします。薬剤による退治方法は二つあります。
幼虫を退治する方法:卵からふ化した幼虫は薬剤に弱く、「オルトラン水和剤」、アクテリック乳剤などで退治できます。幼虫がいつあらわれたかの判断が難しいのですが、目安として年1回のロウムシも年数回世代を繰り返すコナカイガラムシも5~7月にかけて幼虫があらわれます。この時期に上記薬剤を月2~3回程度の割合でカイガラムシの姿が見えなくてもていねいに散布すると、8月頃からいなくなります。エアゾール剤の「カイガラムシエアゾール」は速効性の成分(フェンプロパトリン)と浸透移行性の成分(クロチアニジン)の混合剤でカイガラムシの幼・成虫を退治します。
葉の表面がテカテカ光ったり、べトべトすることがあります。これはカイガラムシをはじめ「アブラムシ」や「コナジラミ」など吸汁性害虫の排泄物で、これらの害虫が寄生している証拠です。やがて、「すす病」原菌が繁殖して黒くなるので注意してください。
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