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栽培管理|西洋芝(ケンタッキーブルーグラス)の育て方

監修:株式会社那須ナーセリー 武井和久

西洋芝(ケンタッキーブルーグラス)の栽培管理と収穫の方法について紹介します。

西洋芝(ケンタッキーブルーグラス)写真

日本に自生する芝を日本芝、海外から導入された芝を西洋芝(洋芝)といいます。日本芝は全て暖地型ですが、西洋芝には寒地型のものと暖地型のものがあり、ケンタッキーブルーグラスは寒地型の西洋芝に属します。ちなみに、暖地型の西洋芝としてはバミューダグラスなどがあります。 ケンタッキーブルーグラスの学名はPoa pratensis L.、和名はナガハグサです。日本には明治期に導入され、芝草としてだけでなく牧草としても広く利用されています。今では北は北海道から南は九州まで分布しています。

管理

使用するもの

●芝刈り機
●水やり道具(スプリンクラー、散水ホース、自動散水装置など)
●肥料と肥料散布機(狭い面積ならば手まきでも可)
●目土(砂、芝生専用の用土など)
●目土(目砂)をまき、すり込むための道具(スコップ、トンボ、竹ぼうきなど)
●殺菌剤
●殺虫剤
●除草剤(手での除草では対処できないほど発生している場合)
●海藻エキス入り生育活性剤(夏の暑さ対策用)
●植物成長調整剤(刈り込み回数の低減、夏の暑さ対策など)
●噴霧器(葉面散布肥料、農薬、着色剤などの散布用)
●エアレーション用の穴あけ器(ローンスパイクなど)
●サッチとり用具(ガーデンレーキなど)
●手どり除草用具(除草フォーク、除草小鎌など)
●掃除用具(竹ぼうきなど)
●補修用のケンタッキーブルーグラスの種子またはソッド
●補修用の床土用土(土、砂、土壌改良材など)
●補修時に床土を耕耘し、平らに均すための道具(スコップ、クワ、レーキ、トンボなど)
●こうがい板(張り芝をするときの凹凸微調整用)
●鎮圧(転圧)道具(踏み板、ローラーなど)
●保温シート(寒冷地・温暖地で冬も葉色を保ちたい場合)
●着色剤(手間をかけずに葉色を保ちたい場合)
●寒冷紗と支柱(暑さ対策として日除けをする場合)
●送風機(暑さ対策として芝生を冷却する場合)

刈り込み

4〜5月

寒冷地

この時期になると寒冷地でも春の訪れを実感できるようになってきます。気温の上昇にともない芝も徐々に生育を開始しますので、芝の伸びが確認できたら早めに軽く刈り込んでおきます。こうすることで、冬の間に枯れた葉先だけを刈り落とすことができ、芝生全体の葉色が揃い、生育開始にともなう緑化とあいまって一気に美しさがよみがえります。

その後は気温の上昇と適度な降雨、散水により、芝の伸びも徐々に活発化してきます。刈り込むたびに芝生の美しさがアップする時期ですので、芝の伸びに合わせて適宜、刈り込むようにしましょう。ケンタッキーブルーグラスの場合、刈り高は2.5~4cmで、月に1~2回の刈り込みが目安です。

なお、5月も下旬頃になると芝の生育もかなり活発になってきます。週末しか作業できない方などはどうしても作業回数が限られてしまうので、常に同じ刈り高で刈るのではなく、その時の芝の高さに合わせて刈り高を調整することをおすすめします。

また、5月に入ると早いところではケンタッキーブルーグラスの穂が出始めますが、芝刈機によってはうまく刈れずに、穂が残ってしまうことがあるかもしれません。そのようなときは、残った穂を鎌などで刈り取るか手で引き抜いておきましょう。穂が出る期間は限られるので、芝生の美観を保つためにも手間を惜しまないことが大切です。

 

温暖地・暖地

いよいよ寒地型西洋芝の生育適期です。気温の上昇にともない、芝は鮮やかさを取り戻すとともに、その伸びる速さを増してきます。5月に入ると、ときおり夏日や真夏日になることもあるでしょうが、数日で芝の生育が衰えることはありません。生育盛期にふさわしい旺盛な伸びを示すので、刈り込みの間隔を空けすぎないように注意します。もし間隔が空いてしまった場合には、刈り込みに入る前に芝の高さを測り、今の刈り高設定が「刈り高2/3ルール」に適っているかを確認します。刈り高は2.5~4cm、月に3~6回が目安です。

この時期、多少の低刈りならば大事には至りませんが、夏越しに向けての大切な準備期間でもあるので、くれぐれも無用なストレスは与えないようにしてください。

温暖地・暖地では5月は出穂の時期になりますので、寒冷地同様、芝刈機で刈れなかった穂があれば鎌などで刈り取るか、手で引き抜いておきます。

 

 

6〜7月

寒冷地

気温も上がり、生育盛期に入ります。芝の伸びもよくなるので、できる限り頻繁に刈り込みます。切れ味のよい芝刈機を使って適切な刈り高で刈るのであれば、刈れば刈るほど美しい芝生に仕上がるはずです。刈り高は2.5~4cmで、月に4~8回が目安です。

梅雨のある地域では、梅雨入り後はどうしても刈り込みがおろそかになりがちです。梅雨の晴れ間を待って刈り込むのでは芝が伸びすぎてしまうかもしれません。定期的に刈れるのであれば同じ刈り高でよいのですが、刈り込みが不定期になったときは、芝の高さに合わせて刈り高の方を調節します。刈り高は「刈り高2/3ルール」に照らして決定します。

 

温暖地・暖地

いよいよ梅雨入りです。梅雨が明ければ、ついに暑い夏がはじまります。これからが辛抱のしどころであり、腕の見せどころとなります。

暖地では夏越しができないとわかっていても、やはり少しでも長く美しい緑の芝生を楽しみたいものです。温暖地で夏越しを目指すのであればなおさらのこと、これからは刈り高が重要なポイントになってきます。

夏に向けての準備としては、まずは刈り高を上げることです。これまで3cmで刈っていたのであれば4cmか5cmに、思い切って刈り高を上げておきましょう。ただ、あまり葉を伸ばしすぎると葉が寝てしまってきれいに刈れなくなってしまいます。また、芝刈機にも刈り高の上限があるので、それによっても伸ばせる高さが決まってきます。高さの調整幅が5cmまでの芝刈機であれば、伸ばせる芝の高さは7.5cmまでです。芝が7.5cmになる前に、必ず刈り込みを行うようにしてください。

とにかく、この時期は芝の体力消耗が激しく、一つの作業ミスが命取りにもなりかねません。雨天続きで定期的な作業は難しいでしょうが、「刈り高2/3ルール」を参考に、芝にやさしい刈り込み作業をくれぐれも心がけてください。

この時期の目安としては、刈り高が4~5cm、回数が月に4~8回ですが、作業が天候に左右されるのはしかたありません。ときには「刈り高2/3ルール」を守れないこともあるでしょうが、雨空を見上げながらヤキモキしても仕方ないので、どうか肩の力を抜いて、臨機応変に芝生と付き合ってみてください。もちろん、芝に無用なストレスを与えないよう、可能な限りの配慮や工夫はどうかお忘れなく。

 

 

8〜9月

寒冷地

温暖地や暖地の方から寒地型西洋芝オーナーの悲鳴や嘆きが聞こえてきそうですが、こればかりは寒冷地に住む者の特権です。青々と元気な芝生を涼しい顔をしながら刈り込んであげましょう。

この時期の目安は、刈り高が2.5~4cm、回数が月に4~8回程度ですが、寒冷地でもときおり真夏日になるようなところでは、若干の不安もあるでしょう。念のため、刈り高を少し上げておくことをおすすめします。

 

温暖地・暖地

この時期になると、暖地ではすでに芝が枯れているかもしれません。こればかりは仕方のないことです。枯れた芝をそのままにするのは見苦しいので、芝を剥いでしまいたいと思われるかもしれませんが、芝を剥ぐと土壌中に眠っていた雑草の種が発芽してくる可能性があります。もし許容できるのであれば、秋に播種や張り芝を行うまで枯れたままにしておきましょう。葉が長いままだとより見苦しくなるので、思い切って低く刈ってしまってもよいでしょう。

温暖地で夏越しを目指している方は今が勝負時、もう少しの辛抱です。刈り高は高いままを維持し、とにかく夏が過ぎるのを待ちましょう。すでに芝の伸びが止まっていれば刈り込む必要はありませんし、もしわずかに伸びていても許容範囲内であればそのまま伸ばしておきましょう。

夏越しのためにできる工夫としては、日中の暑い時間帯だけでも芝生の上に寒冷紗をかけて直射日光を遮ることです。芝生の周囲に支柱を立て、それに寒冷紗をかぶせて、日中の強い日射しから芝生を守ります。ポイントは日射しだけを遮って、風通しは確保することです。また、電気代はかかりますが、大型の扇風機(送風機)で風を送れると芝生の冷却効果が期待できて、夏越しできる可能性も高まります。

 

 

10〜11月

寒冷地

そろそろ芝生の生育シーズンも終わりに近づいてきました。気温の低下にともない、徐々に芝の成長も緩やかになるので、刈り込みの間隔もそれに合わせて空けてゆきます。北海道では10月で芝の成長が止まり、刈り止めになるところもあるでしょう。刈り止めを迎えたら、寒さが厳しくなる前に、芝刈機のメンテナンスをしておきます。

 

温暖地・暖地

秋の生育シーズンに入りました。夏越しした芝生であれば、ダメージもまだ残っているはずです。気を緩めずに丁寧な作業を心がけましょう。

夏向けに高くした刈り高を下げる場合には、一気に下げずに少しずつ時間をかけて下げていきます。刈り高、回数とも目安は春と同じですが、それはダメージから十分に回復してからの話です。あくまで芝の様子を見ながら、もし不安があれば高めの刈り高を維持するようにしてください。

秋に張り替えたばかりの芝生であれば、芝が根付くのを待ってから刈り込みを始めます。もしその前に芝が伸びてしまったら、刈込みバサミで刈り込むか、高めの刈り高でいつも以上に注意深く、ゆっくりと刈ってください。これは種まきをした場合も同様です。

 

 

12〜1月

寒冷地

この時期は必要ありません。

 

温暖地・暖地

冬に入り、温暖地では徐々に芝の伸びも止まってきます。もしまだ伸びていれば刈り込みを行いますが、月に1回のペースで十分でしょう。暖地であれば、まだしばらくは伸びるので、月に1~2回は刈り込みます。刈り高の目安は温暖地、暖地とも2.5~4cmです。

温暖地でも霜が降りるような地域では、寒さや乾燥などでしだいに葉先(葉の切断面)が変色してきます。葉のごく一部の変色ではあるのですが、それだけでもだいぶ緑が失われたように見えるでしょう。そのようなときは、刈り高をわずかに下げて葉先を刈り揃えてあげます。そうすることで、葉の色がより均一になり、芝生全体の美観が向上します。ただ、わずかとは言え芝の刈り高を下げることになるので、何度も繰り返すわけにはいきません。せいぜい月1回程度に留めておきましょう。


手前が刈り込んだ後

 

 

2〜3月

寒冷地

寒冷地では3月もまだ冬の気温です。ときおり春の訪れを予感させる陽気となることもあるでしょうが、刈り込みが必要になるほどの伸びはありません。

 

温暖地・暖地

3月に入ると気温の上昇を肌で感じられるようになります。もしこの時期でも芝の伸びが見られるようであれば、伸び具合に合わせて刈り込みを行います。

3月も下旬となると地域によっては芝の生育に勢いが感じられるようになるでしょう。芝の伸びもよくなるので、それに合わせて刈り込みの回数を増やします。刈り高の目安は2.5~4cm、刈り込みの回数は月に2~4回程度とします。

 

 

ワンポイント

 

管理作業の少ない冬の間に芝刈機の整備を行いましょう

高性能な芝刈り機であっても、使用していけば次第に刃の切れ味が落ちてきます。家庭園芸での利用であれば使用回数もさほど多くはありませんが、それでも1シーズン使用すれば、多少なりとも刃先の摩耗や刃こぼれが起こります。切れ味の悪い芝刈機を使っていたのでは、刈り込みを行うごとに芝を傷めることにもなりかねません。芝生の美観と芝の健康にとって刃の切れ味は非常に重要なので、管理作業の少ない冬の内に、刈り刃の研磨を含めた芝刈り機の整備を行っておきましょう。

なお、芝刈り機の整備については、メーカーによって方法が異なるので、詳しくは各メーカーのホームページや付属の解説書でご確認ください。

水やり

4〜5月

寒冷地

気温が上昇すると次第に芝の成長も旺盛になってきます。それに伴って必要とする水の量も多くなるので、あまり乾燥させず、適度な土壌水分を維持することが大切です。

5月に入ると寒冷地でも夏日になることがありますが、そのようなときに風が吹くと一気に乾燥が進み、しばしば乾燥害が発生します。天気予報からある程度は予測がつくので、乾燥害が懸念されるときは朝のうちにしっかりと水やりを行っておきましょう。

 

温暖地・暖地

温暖地や暖地は寒冷地以上にこの時期は乾燥害が発生しやすくなります。5月ともなると陽射しも強く、夏日になることもしばしばで、さらに初夏の乾いた暖かい風が加わると芝生からは水がどんどん蒸発し、気づくと芝生のところどころに芝の萎れや乾燥害が発生していた、ということもなりかねません。とくに温暖地の寒地型西洋芝は床土が土壌改良されていることが多く、排水性には優れるものの保水性が劣るケースが少なくありません。このような芝生ですと好天続きのときは毎日のように水やりが必要になることもあるので要注意です。

ただ、幸い、芝の生育が最も盛んな時期なので、多少、乾燥害を発生させてしまってもダメージはさほど深刻にはなりません。すぐに回復してくるでしょうが、夏越しのことを考えれば、芝の体力消耗はできるだけ避けたいものです。1年で最も寒地型西洋芝が青々と光輝く時期ですので、観賞を兼ねてこまめに芝生を観察し、乾燥害を未然に防ぐよう心がけましょう。

 

 
右側が萎れの症状

 

6〜7月

寒冷地

この時期は北海道と本州の高冷地とでかなり気象条件が異なります。

梅雨のない北海道であれば、春と同様に、水やりの基本である「与えるときはたっぷりと、与える間隔はできるだけ空ける」を守るだけです。あとは天気を見ながら間隔を調整します。

一方、本州の高冷地では梅雨の間は基本的に水やりは不要です。ただし、梅雨の晴れ間や梅雨明け後は日射しが強く、気温も高いので、一気に乾くことがあるので要注意です。そのようなときは、日中、芝生をこまめに観察し、萎れに気づいたらすぐに水やりを行います。ケンタッキーブルーグラスは萎れると葉が閉じて細くなり、色も黒ずんでくるので、見ればすぐに異変に気づくはずです。

なお、ケンタッキーブルーグラスには長く乾燥にさらされると地上部を枯らし、休眠してしまうという性質があります。乾燥から解放されれば再び地上部を再生するのですが、厄介なのは、その枯れが乾燥による休眠なのか、枯死なのかが見分けにくいことです。もし水やりのタイミングを誤って乾燥害を発生させてしまったら、しばらくは適宜、散水しつつ、芝が再生するかどうかを観察してください。もし枯れた葉の下から緑の芽が出てくれば大丈夫、十分に回復が期待できます。

 

温暖地・暖地

晴れれば一気に夏の陽気となり、雨が降れば春に逆戻りすることもあるのがこの時期です。雨天続きであれば水やりは不要ですが、問題は晴天が続いたときです。とくに土壌が過湿気味で芝の根が浅くなっているようだと、水やりのタイミングがつかみにくく、非常に厄介です。朝には十分に湿っていたはずが、昼過ぎになって一気に乾きだし、気づいたら葉が萎れていた、ということにもなりかねません。

予測が難しい以上、最善の方法は、芝生の様子をこまめに観察して、適宜対応することです。葉の萎れを見逃さず、気づいたらすぐに散水できるようにしておきます。もし葉が閉じて細くなる、色が黒ずむなどの異変が現れたらそれが萎れのサインです。すぐに散水を行いましょう。

 

 

8〜9月

寒冷地

引き続き、乾燥害の発生に注意します。散水は朝の涼しい時間帯にたっぷりと行い、間隔はできるだけ空けるようにします。今日は大丈夫と思っても、天気によっては急速に乾くこともあるので、もし萎れの兆候が現れたらすぐに散水を行います。

 

温暖地・暖地

温暖地においてはこれが夏越しの成否を分けることもあるほど、夏場の水やりはとても重要です。

いろいろと注意すべきことはありますが、とくに大切なのが、土壌の性質に合った水やりをすることと、病害発生への配慮です。

砂などの保水性の低い土壌の場合、夏場は常に乾燥害の危険にさらされます。逆に、排水性の低い土壌の場合には、土壌の過湿による酸欠、根腐れが心配です。乾燥害であればまだ、スプリンクラーによる自動散水などで対応は可能ですが、排水不良の場合には水のやり過ぎに注意するしかありません。しかし、降雨はどうにもならないので、文字通り、天に任せるしかなくなります。

寒地型西洋芝の場合には高温期に病気が発生することも多く、これには土壌の過湿なども関係しています。とくに熱帯夜などに土壌が過湿気味だと生理障害や病気発生の要因になりやすく、これへの配慮が求められます。

したがって、水やりは気温の低い早朝に水温に注意しながらたっぷりと行い、夕方の散水はできるだけ避けるようにします。もちろん、芝が萎れてきたのであれば夕方にもまかなければなりませんが、その際は軽い散水に留め、翌朝、たっぷりと与えるようにします。

 

 

10〜11月

寒冷地

この時期になれば、ほぼ水やりは要らなくなります。晴天が続いたら芝の様子に注意するくらいでよいでしょう。万一、萎れの症状が現れたらそのときはすぐに散水します。

 

温暖地・暖地

秋の生育盛期ではありますが、春ほどの勢いはありません。適度に降雨もあるので、あまり水やりが必要になることはないでしょう。ただ、天気次第のところもあるので油断は禁物です。秋晴れが続いたときなどは注意深く芝生を観察し、もし乾き気味のようなら念のために散水しておきます。

 

12〜1月

寒冷地

芝の成長は止まっているので、とくに水やりは必要ありません。自然の降水だけで十分です。

 

温暖地・暖地

温暖地や暖地であれば、この時期でも芝は生育を続けているはずです。もし晴天が続くようならば、暖かい日の日中に軽く散水しておきます。適度な土壌水分を保つことは乾燥による芝の退色を防ぎ、良好な緑を保つことにつながります。

 

 

2〜3月

寒冷地

12月~1月と同様、芝の成長は止まっているので、とくに水やりは必要ありません。3月に入ると降水量も増えるので、自然の降雨だけで十分です。

 

温暖地・暖地

3月ともなると暖地では気温も高くなり、芝の生育もだいぶ活発化してきます。それに応じて水の消費も増えてきますので、適度な土壌水分を保つことが大切です。降雨だけで十分なことも多いでしょうが、もし乾燥気味であれば適宜、散水を行います。

温暖地でも3月に入ると芝が動きはじめます。好天が続いたときなどは散水が必要になることもあるので、乾燥害への注意も怠りなく。

 

 

ワンポイント

 水のやり方は芝生ごとに異なります。ご自身の芝生に適した水やりの方法を

散水の量は床土の土質や厚さ、その下の基盤の排水性などによって異なりますが、どのような床土であっても与えるときは床土が十分に湿るまでたっぷりと時間をかけておこなうことが大切です。とくに寒冷地では土壌改良しないまま在来の土壌を使用しているケースが多く、中にはあまり透水性がよくない土壌があるでしょう。そのような土壌では、水をまいても十分に浸透しないうちに表面に水が浮き、外に流れ出てしまうので、少ない水量を時間をかけてまかなければなりません。手まきですとどうしても手間がかかるので、そのような場合にはスプリンクラーを使用することをおすすめします。

ただし、スプリンクラーも万能ではありません。必ずといってよいほどまきむらが生じますので、設置する場所は風の向きや強さ、機材の特徴などを考えて決める必要があります。多くの場合、芝生全面にまくには、何回か設置場所を移動させる必要があるでしょう。

とにかく、水やりはとても奥の深い作業なので、一律にこうやれば大丈夫などといえるものではありません。ですが、芝生の場合には、与えるときは土壌深くまでしっかりと湿らすこと、そして、水やりの間隔についてはできるだけ空けることが基本です。最初はなかなかタイミングと量がわからず、葉を萎れさせてしまったり、与えすぎて芝を弱らせてしまうこともあるでしょうが、経験を積めばしだいにご自身の芝生の傾向や癖がわかるようになるはずです。季節や天候、芝の伸びや刈り高などとの関係も考慮しつつ、ぜひ、あれこれと試していただき、ご自身の芝生に合った水やりのしかたを探求してみてください。

施肥

4〜5月

寒冷地

寒冷地では5月からが生育シーズンのはじまりです。芝の成長が盛んになって刈り込み作業がスタートすれば、それにあわせて施肥も開始します。

目安はN-P-K=8-8-8の緩効性肥料を月1回、平米当たり10~20g(窒素成分量で0.8~1.6g)程度ですが、秋にたっぷりと与えてあれば、その肥効が続いている可能性もあります。与えるべきかどうかや、与える量については、あくまで芝の伸び具合や葉色の変化を見て判断してください。

 

温暖地・暖地

1年で最も生育の旺盛な時期なので、寒冷地よりも多めに施します。N-P-K=8-8-8の緩効性肥料であれば月1回、平米当たり20~30g(窒素成分量で1.6~2.4g)程度を与えます。ただし、秋の施肥量が多い場合にはその肥効が残っている可能性もあるので、施肥を行うかどうかや、どのくらい与えるかは芝の伸び(刈りカスの量)や葉の色などを見て判断します。

 

 

6〜7月

寒冷地

寒冷地の生育盛期に入ります。1年で最も旺盛に成長する時期なので、N-P-K=8-8-8の緩効性肥料であれば月1回、平米当たり20~30g(窒素成分量で1.6~2.4g)程度を与えます。

 

温暖地・暖地

いよいよサバイバルシーズンの到来です。これからは施肥のやり方にも細心の注意が必要です。暖地では夏越しは困難ですが、少しでも長く芝生を楽しめるようできるだけの努力はしておきましょう。

この時期に気をつけるのは、梅雨の高温多湿と低日照です。芝が伸びすぎて軟弱になりがちなので、窒素量は少なめにします。固形肥料ですと少量散布が難しいので、液体肥料を使用します。薄める倍率を変えることで簡単に量を加減できて非常に便利です。ジョウロですとまきむらが心配なので、噴霧器を使用します。

施肥量は窒素成分量で平米当たり1~2g程度を目安とします。使用する液肥は窒素成分が少なく、リン酸やカリウムを多く含むものがおすすめです。与えすぎは避けたいので、この量を2~3回にわけて芝の様子を見ながら与えます。

梅雨明けを迎えると猛暑になることもありますが、十分に体力を温存していればすぐに枯れてしまうことはありません。ただ、徐々に弱ってくるのは避けられないので、いかにその下降線を緩やかにするかを考えます。

芝の衰弱は根からはじまると言われるので、根の衰退を緩和するために海藻エキス入りの生育活性剤の使用を検討します。また、芝生用の植物成長調整剤が入手できるならば、その使用もあわせて検討します。植物成長調整剤を継続的に使用することで芝の徒長が抑えられ、体力の消耗を防ぐ効果が期待されます。

 

 

8〜9月

寒冷地

夏を迎えても寒冷地の西洋芝は元気に成長します。ただ、同じ寒冷地でも地域によって暑さには差があるので、芝の伸びに合わせて施肥量も調整する必要があります。6~7月同様の成長があれば、同じように月に1回、窒素成分量で1.6~2.4g程度を与えます。N-P-K=8-8-8の緩効性肥料であれば平米当たり20~30gです。

もし暑さでやや成長が落ちているようならば、それに合わせて施肥量も抑えます。刈カスの量が6~7月の半分くらいならば、施肥量も窒素成分量で平米当たり0.8~1.6gと半分にします。これはN-P-K=8-8-8の緩効性肥料で10~20gになります。

 

温暖地・暖地

暑さで体力を失う時期です。弱った芝の根には養分を吸収する力もありません。こうなると葉面から養分を供給するしかありません。薄い液体肥料(できれば葉面散布用の肥料)を茎葉に散布して、養分が吸収されることを期待します。

葉面散布のコツは、いかに葉の表面にむらなく肥料を付着させるか、です。大きな水滴では葉面に付着せず地上に落ちてしまうので、散布には噴霧器を使用します。液肥を霧状にして、葉の表だけでなく裏にも付くよう角度を変えて散布します。

海藻エキス入り生育活性剤と成長抑制剤の使用についても引き続き検討します。

 

 

10〜11月

寒冷地

気温の低下とともに芝の伸びも少なくなり、刈り込みの回数も減ってきます。そのため、もう肥料は必要ないように思えるのですが、実はそうではありません。冬に備えて貯蔵養分を蓄える大事な時期なので、しっかりと肥料を与え、芝に寒く長い冬を乗り切るだけの体力をつけてもらいます。

施肥量は春と同じかそれ以上でもよいでしょう。与える時期は芝の伸びが止まった直後です。地上部がほぼ活動を停止しても、地下部はまだ活動中なので十分に養分を吸収できます。ただ、いずれは地下部も活動を停止するので施用の適期は長くありません。

短い期間に肥料を効かせることを考えると、おすすめは緩効性肥料でなく、速効性の肥料です。ただ、速効性の固形肥料を使用するのであれば、肥料焼けに注意しなければなりません。夏場ほど慎重になる必要はありませんが、念のため、散布した後には水をまいて肥料を溶かしておきましょう。

 

温暖地・暖地

秋の生育シーズンに入るため、芝の伸びもよくなり、刈り込み回数も増えてきます。したがって、肥料もしっかりと与えます。N-P-K=8-8-8の緩効性肥料であれば月1回、平米当たり20~30g(窒素成分量で1.6~2.4g)程度が目安です。

ただし、秋に芝生を再造成したばかりであれば、そのときの元肥がまだ効いている可能性があります。この時期に限ったことではありませんが、施肥量はあくまで、これまでの施肥実績(いつ、どのような肥料を、どれくらい与えたか)と今の芝の伸び具合(刈りカスの量)などから総合的に判断するようにしてください。

 

 

12〜3月

寒冷地

芝の成長はほぼ止まっているので必要ありません。

 

温暖地・暖地

もし刈り込みが必要なほど伸びているのであれば、この時期でも施肥は必要です。ただし、秋に緩効性の肥料をしっかりと与えているのであればまだ肥効が続いている可能性があるので、施肥が必要かどうかは秋の施肥実績(施肥量や残効期間)に照らして判断します。

また、芝の葉色を鮮やかにしたいからと緩効性の肥料を多めに与えてしまうと、春になっても肥効が切れず、芝が伸びすぎてしまうことにもなりかねません。葉色維持が目的ならば、施肥量を増やすよりも芝生の保温(寒さにさらさないこと)と乾燥防止(適度な土壌水分の維持)を心がけましょう。

目土入れ

 

4〜5月

寒冷地

そろそろ芝が動き始めます。4月では早すぎますが、5月になればエアレーションを行うことも可能です。そのタイミングで目土を入れておきます。もし床土に問題がないようならば、あえてエアレーションをする必要はありません。そのときは目土だけでも入れておきましょう。

目土の厚さは枯れた古い下葉が隠れる程度で十分です。地表面に凹凸があれば凹部に厚めに目土を入れて補正します。ただし、凹部が深い場合には一度に補正しようとせず、何回かにわけて補正します。くれぐれも目土を入れすぎて、葉の大部分を埋めてしまわないよう注意してください。

 

温暖地・暖地

芝の成長が盛んになってきます。暖地ではわざわざ行う必要はありませんが、温暖地で夏越しを目指す場合にはエアレーションと一緒に行います。エアレーションの穴が小さい場合にはかなり大変ですが、できるだけ丁寧に目土をすり込んで、エアレーションで空けた穴を目土で満たすようにしてください。穴に目土が入らず、空いたままでは土壌の更新になりません。

 

 

6〜7月

寒冷地

芝が最も旺盛な成長を示す時期です。もし芝生面に凹凸が目立つようならば、この時期に行ってもよいでしょう。

 

温暖地・暖地

この時期は行いません。

 

 

8〜9月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

この時期は行いません。

 

 

10〜11月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

初秋に新たに播種した場合や張り替えた場合には、この時期にも目土を入れておきます。施工時には目立たなかった凹凸が時間がたって目立つようになることもあるので、もし低いところがあれば、そこへ厚めに目土を入れ、面を整えます。

 

 

12〜1月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

この時期は行いません。

 

 

2〜3月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

3月に入ると早いところでは芝の伸びが始まるので、目土入れの適期に入ってきます。小さな窪みなどがあればそこは厚めに、それ以外の部分には枯れた下葉が隠れる程度の目土を入れます。

サッチとり・掃除

4〜5月

寒冷地

枯れた下葉が目立つようならば、目土を入れる前にガーデンレーキなどを使って軽くサッチ取りを行います。ただし、この場合のサッチ取りは茶色になった古い枯れ葉をかき取るだけです。もしサッチが蓄積しているようならば、芝の成長が旺盛となる6~7月に行います。

 

温暖地・暖地

古い枯れ葉が目立つようならば、ガーデンレーキなどを使ってかき取ります。ただし、温暖地で夏越しを目指す場合には芝を傷めないよう注意してください。エアレーションや目土入れの予定があれば、その前に行うとよいでしょう。

 

 

6〜7月

寒冷地

生育盛期に当たるので、多少は芝を傷めても問題はありません。夏枯れの心配もないので、もしサッチが厚くたまってきていれば、強めにサッチ取りを行います。エアレーションや目土入れを行う予定があれば、その前に行うとよいでしょう。

 

温暖地・暖地

梅雨の時期に入り、気温も高くなるので、サッチ取りは行いません。

 

 

8〜9月

寒冷地

寒冷地とはいえ高温になる日もあるでしょう。芝へのダメージを避けたいので、サッチ取りは控えます。

 

温暖地・暖地

この時期は行いません。

 

 

10〜11月

寒冷地

徐々に芝の成長も緩やかになってきます。越冬に向けて貯蔵養分を蓄えておきたいので、むやみにストレスを与えないことが大切です。芝を傷つけやすいサッチ取りは控え、落ち葉掃除に専念します。

 

温暖地・暖地

温暖地ですと落ち葉が目立つ時期になります。芝生の近くに落葉樹があると、風に吹かれて芝生内に枯れ葉が舞い落ちるかもしれません。青い芝生の上の紅葉した落ち葉というのも美しいものですが、そのまま放置したのでは落ち葉の下の芝に光が届かなくなるので、落ち葉が目立つようになったら掃除しておきましょう。

 

 

12〜3月

寒冷地温暖地・暖地

サッチ取りは必要ありませんが、芝生の周囲に落葉が残っていると風によって芝生内にまで枯葉や枯れ枝が飛ばされてくることがあります。美観を保つためにもこまめに掃除をしたいものです。

エアレーション

 

4~5月

寒冷地

長い冬もようやく終わり、いよいよ芝が成長をはじめます。ただ、この時期の成長は緩やかなのでエアレーションには適しません。もう少し生育が旺盛になってから行いましょう。

 

温暖地・暖地

芝が元気に成長する時期です。夏越しが難しい暖地ではわざわざ行う必要はありませんが、温暖地で夏越しを目指す場合には、ローンスパイクなどのエアレーション器具を使って穴をあけ、目土をまき、竹ぼうきなどで丁寧にすり込みます。すり込んだ後は、たっぷりと水をまいて目土を落ち着かせます。

 

 

6〜7月

寒冷地

芝の伸びも旺盛となり、そろそろエアレーションをしてもよい時期です。もし床土の排水性などに不安があれば、この時期にエアレーションを行っておきます。

 

温暖地・暖地

梅雨期に入って雨天続きになると、どうしても床土の排水不良が気になるものですが、すでに夏に向けて芝の体力を温存させる時期に入っているので、エアレーションは控えます。水はけの悪い場所を記録しておき、秋のエアレーション適期になったらその場所を重点的に行いましょう。

 

 

8〜9月

寒冷地

寒冷地とはいえ、この時期はそれなりに気温も高くなっています。10月に入ると芝の伸びが緩やかになるので、あえてこの時期にエアレーションを行う必要はないでしょう。

 

温暖地・暖地

まだ気温が高いので、この時期には行いません。

 

 

10〜11月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

温暖地、暖地とも初秋に種を播いたり、ソッドで張り替えた場合はエアレーションは必要ありません。温暖地で夏越しに成功した場合のみエアレーションを行います。ただし、夏のダメージから回復しきれていないようならば、エアレーションは行わないほうがよいでしょう。弱った状態の芝にエアレーションを行っては、かえって芝を傷めてしまいます。

 

 

12〜3月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

この時期は行いません。

追播・張り替え補修

4〜5月

寒冷地

4月はまだ気温が低いので、5月に入ってからの補修をおすすめします。あまり早くに施工しても、ただ養生期間が長くなるだけです。あわてずに補修の適期まで待ちましょう。

ソメイヨシノなどの桜が咲けば、張り替え補修の適期になりますが、追播による補修の場合はもう少し遅らせた方がよいでしょう。ケンタッキーブルーグラスの発芽適温は16℃からなので、できるだけ日最低気温が16℃を超えるまで待つことをおすすめします。

 

温暖地・暖地

この時期の追播による補修はおすすめできません。というのも、ケンタッキーブルーグラスは発芽とその後の初期成長が遅く、芝生が仕上がるまでに時間がかかるからです。この時期に播種したのでは、仕上がる頃には梅雨や夏を迎えてしまいます。それでは決して良い結果にはならないので、もしこの時期に補修するならば、ソッドによる張り替え補修をおすすめします。

 

 

6〜7月

寒冷地

6月ならば播種、張り替えともに間に合いますが、7月に入ってからの播種では夏の暑さと乾燥が心配です。寒冷地といえども真夏日になることはあるので、7月に入っての補修であれば、より安全なソッドによる張り替えをおすすめします。

 

温暖地・暖地

この時期は行いません。

 

 

8〜9月

寒冷地

寒冷地では秋の生育期間が短いため、種まきでの補修はおすすめできません。また、張り替えによる補修を行う場合でも、地域によっては真夏日になることもあるので、そのような地域では盛夏となる8月は避け、9月前半頃の施工をおすすめします。

一方、北海道のような寒地では冬の訪れが早いため、9月に入っての施工では成長停止までの期間が短く、芝は冬越しに向けて十分に養分を蓄えることができません。したがって、北海道では暑さのピークを過ぎたらすぐに張り替えを済ませるか、来春の成長開始を待って種まきか張り替えによる補修を行います。

 

温暖地・暖地

9月も下旬となると、温暖地ではだいぶ涼しくなるはずです。そうなれば、追播、張り替えのどちらでも可能になってきます。

 

 

10〜11月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

10月になれば、温暖地、暖地とも追播、張り替えの適期です。ただ、11月に入ると温暖地では気温が低くなるため、できれば張り替えによる補修を行いたいものです。もし追播による補修を行うのであれば、施工後は保温シートを掛けて養生するとよいでしょう。

 

 

12〜3月

寒冷地

この時期は行いません。

 

温暖地・暖地

暖地であれば播種も張り替えも可能ですが、特別な事情でもないかぎりこの時期は避けた方が無難です。3月も後半になれば芝の生育も活発となるので、それ以降の施工をおすすめします。温暖地については3月下旬以降がおすすめです。

もし、どうしても追播や張り替えをする必要があるのであれば、保温シートの利用をおすすめします。

 

 

ワンポイント

 

●枯れた芝は取り除き、できれば土壌の改良を行います

芝生を補修する箇所には元の芝が枯れたまま残っています。種を播くにしても芝を張るにしても、その枯れた芝をどうにかしなければなりません。

作業の手間を考えれば、その上から種を播くか、ソッドを張ってしまいたいところです。しかし、枯れた芝が残っていては新たな芝が根づきにくく、また、枯れた芝が分解される過程で窒素を消費するため、新しい芝の生育に悪影響を及ぼしかねません。新しい芝をしっかりと根づかせるためにも、張り替える箇所については、生き残っている芝も含めてすべて取り除いておきましょう。

なお、その箇所が枯れた理由が夏枯れや乾燥害によるものならば、補修のときこそが土壌改良を行う絶好のチャンスです。この機を逃さず、床土に土壌改良材を入れるなどして可能な限りの改善を行っておきましょう。これを怠ると、また来年も同じ箇所を補修することにもなりかねません。

 

種まきによる補修

ケンタッキーブルーグラスの場合、発芽には適度な温度と水分だけでなく、光も必要になります。タネを播いた後に薄く目土を入れておくと種子の乾燥や雨による流亡を防止できるのですが、あまり厚く目土を入れると光が不足して発芽しにくくなってしまいます。こまめに散水ができるのであれば種子と土壌を密着させるよう転圧だけを行い、しっかりと水をまいておきます。もし目土を入れる場合には、種子に光が当たるよう厚くまきすぎないように注意します。

播種量は平米当たり15~20gが目安ですが、密度の高い芝生を望むならばもう少し多くてもよいでしょう。ただ、均一に播いたつもりでも発芽にはたいていバラツキが生じるものです。したがって、密度の揃った芝生に仕上げるならば、初めから多めに播くよりも、後で発芽の少ない箇所に追播することをおすすめします。

播種をした後は、種子と床土が密着するように鎮圧(平らな板などを敷いてその上から踏み固めるなど)し、たっぷりと水やりを行います。このとき、種子が流れたり浮いたりしないよう水圧や水量に注意します。その後、発芽するまではこまめに水やりを行い、種子が乾燥しないよう適度な土壌水分を保ちます。

●張り替えによる補修

まず最初にスコップなどで枯れた芝を剥ぎ取ります。つぎに床土を平らに均して整地します。商品にもよりますがソッドには2cm程度の土の付いた部分(根の部分)があります。その厚さ分だけ掘り下げておかないと芝の面が高くなり、芝生面の凹凸となっていろいろと面倒なことになります。多少低い程度ならば目土で補正することもできますが、それには手間も時間もかかります。そうした面倒を避けるためにも、施工時には手間を惜しまず、しっかりと芝生面の高さ合わせておくことが大切です。

張り替える面積が小さい場合には、ソッドを包丁などで適当な形と大きさに成形します。高品質のソッドであればまずバラバラになることはありません。しかし、あまり小さくしすぎると芝が乾燥しやすくなるので、できるだけソッドの形に補修箇所を合わせるべきです。張り替えてしばらくはソッドの外周の芝が枯れて目地や輪郭が目立つので、できるだけ長方形などの整った形に補修するのが美しく仕上げるコツといえます。

張り終えたら次は床土と密着するよう鎮圧(転圧)しますが、これには播種と同様に平らな板などを敷いてその上から踏むか、もし転圧用のローラーがあればそれを使用します。もし鎮圧(転圧)後に張り替えた部分が沈んで周囲より低くなってしまったら、ソッドを剥がして床土を補充し、再度、芝生面の高さを合わせます。その後、再び鎮圧(転圧)してから目土を入れて丁寧にすり込み、たっぷりと水やりを行って目土を落ち着かせます。

最後にソッドの端をめくり、床土までたっぷりと水が浸透したかを確認します。足りなければ再度、水やりを行います。

除草

4〜5月

寒冷地温暖地・暖地

越冬した冬雑草(冬生雑草)や春に発芽してきた夏雑草(夏生雑草)が目立つようになります。見つけ次第、除草フォークや除草小鎌を使って取り除きます。

 

 

6〜7月

寒冷地温暖地・暖地

夏雑草が生えてきたら、見つけ次第、除草フォークや除草小鎌を使って取り除きます。もし手に負えないほど大量の雑草がある場合には、ケンタッキーブルーグラスに使用できる除草剤「シバニードシャワー」での防除を検討します。効果があるのは一年生の広葉雑草だけですが、雑草の数を一気に減らせます。そうなれば、あとは除草フォークなどで抜き取ればよいだけです。

なお、「シバニードシャワー」は完成した芝生でないと薬害が発生するおそれがあるので、春に種まきで造成した芝生では使用しないようにしましょう。

 

 

8〜9月

寒冷地温暖地・暖地

取り残しの夏雑草や発芽した冬雑草を見つけ次第、除草フォークや除草小鎌を使って取り除きます。

 

 

10〜11月

寒冷地

芝の成長が止まり、冬雑草が目立ちはじめます。見つけ次第、除草フォークや除草小鎌などを使って取り除きます。

 

●温暖地・暖地

播種により芝生をつくった場合には、雑草取りで忙しくなる時期です。除草フォークや除草小鎌などを使って根気強く抜き取ります。

 

 

12〜3月

寒冷地

気温が低いので、まだ夏雑草は発芽しないでしょう。対象は冬雑草だけなので、見つけ次第、除草フォークなどで取り除きます。

 

温暖地・暖地

春近くになると冬雑草だけでなく夏雑草も発生してきます。ある程度目立つまでになったら除草フォークなどで取り除きます。

スズメノカタビラ(一年草)
スズメノカタビラ(一年草)
スベリヒユ(一年草)
スベリヒユ(一年草)
トキワハゼ(一年草)
トキワハゼ(一年草)
メヒシバ(一年草)
メヒシバ(一年草)
オオチドメ(多年草)
オオチドメ(多年草)
カタバミ(多年草)
カタバミ(多年草)
スギナ(多年草)
     
セイヨウタンポポ(多年草)
セイヨウタンポポ(多年草)
イシクラゲ(藻類)
イシクラゲ(藻類)

 

鎮圧(転圧)

5〜10月

寒冷地温暖地・暖地

とくに必要ありません。

 

11〜4月

寒冷地

芝生として完成している箇所であればとくに問題にはなりませんが、秋に播種した箇所などは土壌中の水分が凍って地面が持ちあがることがあります。そのまま放置すると、根が乾燥や寒さの影響を受けてしまうので、日中の暖かい時間帯に軽く鎮圧(転圧)しておきます。ただ足で踏んだのでは芝生面に足形の凹凸ができてしまうので、平らな板などを敷いてその上から踏み固めるとよいでしょう。もしローラーがあればそれを使って転圧してください。

 

温暖地・暖地

とくに必要ありません。

 

防寒・着色

4〜9月

寒冷地温暖地・暖地

この時期になれば寒冷地であっても防寒は必要ありません。晩春~初夏に遅霜があるかも知れませんが、それで芝の色が悪くなることはないでしょう。仮に葉先が変色したとしてもすぐに回復するはずです。

 

 

10〜3月

寒冷地

ケンタッキーブルーグラスは寒さに強い寒地型と呼ばれる芝ですが、それでも気温がおよそ5℃を下回るようになると、その成長もほぼ止まり、葉色もその鮮やかさを失ってきます。とくに霜が降りたり、寒風にさらされたりすると退色が進み、葉先や古い下葉が紅葉したり、黒ずんだり、褐変したりします。これを防ぐには、芝生に保温シートを掛けて霜を防ぎ、極端な寒気にさらさないなどの対策が必要です。もし冬でも良好な葉色を保つのであれば、せめて気温が零下となるような夜間だけでも保温シート掛けを行うことをおすすめします。

もう一つの退色を補う方法に着色剤の利用があります。芝生を着色するというと驚かれる方も多いと思いますが、冬期のゴルフ場などではごく普通に行われていることです。

芝生の着色は芝生専用の着色剤を噴霧器で散布して行います。細かい水滴で葉の表裏にむらなく散布するのが理想ですが、たとえ1枚の葉に付着する量はわずかでも、芝生全体の印象はかなり違ったものになってきます。もし、芝生用着色剤を入手できるようならば、保温シート掛けよりもお手軽な対策として検討してみてください。

ただし、着色剤の散布は風のない時間帯に行い、汚れても良いような長靴、レインコート、手袋などを着用して行います。また、散布後は着色剤が乾くまで絶対に芝生に立ち入らないようにしてください。

 

温暖地・暖地

暖地では全く心配ありませんが、温暖地ですと地域によっては霜が降りることがあるかもしれません。霜が降りると多少なりとも葉色の鮮やかさが失われてしまい、せっかくの寒地型西洋芝の良さが活かされません。日中の気温が高ければ回復も期待できますが、霜が降りる地域ではいったん色が落ちてしまうと春まで色が戻らない可能性もあります。できれば降霜が予想される夜だけでもシート掛けをして、できるだけ鮮やかな緑を保つよう心がけてください。

なお、もしそこまでの手間は掛けられないという場合は、芝生用の着色剤の利用も検討してください。シート掛けよりも手軽に、寒地型西洋芝の緑を引き立たせることができるはずです。

 

 

ワンポイント

 

霜の降りる地域では、夜間のシート掛けをおすすめします

寒地型の西洋芝は別名、冬芝とも呼ばれるため、冬でも鮮やかな緑を保つ芝だと思われがちです。しかし、寒地型西洋芝は必ずしも常緑の芝ではありません。その生育には5℃以上の温度を必要とし、これよりも低い温度にさらされれば、しだいに生育は止まり、葉色も落ちてきます。とくに芝生に霜が降りたり、寒さに乾燥が加わると退色の進みも早まり、葉先を中心に紅葉したり黄化したりして、およそ常緑とはいえない葉色になってしまうことがあります。

冬の間にどの程度まで色落ちするかは地域の気象条件などによりますが、もし冬期に霜が降りることがあるようならば、寒地型といえども多少は葉色が落ちることを覚悟しておくべきでしょう。もし、そうした地域で少しでも長く秋のような美しい緑を保ちたいということであれば、手間はかかりますが、夜間は霜除けと保温を兼ねて芝生を防寒シートで覆っておくことをおすすめします。現在、インターネット通販を利用すれば芝生用の防寒シートも入手できるようですが、ホームセンターなどで販売されている寒冷紗を重ねて使うことでも代用は可能です。

監修:芝生研究家  武井和久

1963年栃木県生まれ。千葉大学大学院園芸学研究科修士課程修了。 1989年より千葉大学園芸学部助手。園芸別科(造園・樹木専攻)担当の傍ら芝草研究に従事。 1993年より株式会社那須ナーセリーに入社。寒地型芝草研究所研究員、後に主任研究員。2000年よりウェブサイトの制作・運営に携わり、芝生関連情報の公開およびサポートに努める。2006年より情報管理課長。現在、社内のIT全般を担当しつつ、芝生調査や教育研修に当たる。 2016年3月、家の光協会より「一年中美しい 家庭で楽しむ芝生づくり12か月」を上梓。

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