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12月-5. 冬のかがり火シクラメン(シクラメン)

冬の鉢花、どれが好き?

 クリスマスにお歳暮と、贈りものが多い12月。続いてお正月がやってくるので、何かと来客が多い時期です。シーズンギフトとして、またお客さまをお迎えするためにも、冬は鉢花が気になる存在に。
この季節のギフトからホームユースまで、多彩なシーンで利用できるのは、今も昔もなんといってもシクラメンです。今回は、冬の鉢花としてポピュラーなシクラメンについて書きたいと思います。

バラエティ豊かなシクラメン

 シクラメンは地中海沿岸原産の植物。日本とは気候が大きく違うことから、導入された当時の栽培はとても難しかったといいます。しかしさまざまな研究や育種の結果、現在日本は、世界で屈指のシクラメン生産国になったそう。うつむきつつも、花弁が立ったようすはほかにはない花姿。また丸く揃った葉は、模様も楽しめます。さらに近年は芳香性の品種、これまでになかった青系統の花色をはじめ、フリル咲き、花が上向きに咲くので5弁花がよくわかるかわいらしい品種も誕生しました。好みのひと鉢を探しに、園芸店や生花店に出向くのも楽しそうです。

ガーデンに植えないガーデンシクラメン?

 さて、シクラメンの楽しみ方で、少し間違って伝わってしまっているのがその置き場所です。冬の鉢花だから、暖房の効いた部屋で楽しみたいのはやまやまですが、シクラメンは実は暑がり。室温が20℃以上ある部屋に置くと葉が黄変して傷んでしまうのです。関東地方以西であれば、晴れて暖かい日の日中はできれば軒下の日だまりに出し、日がかげるころに室内へ取り込んで、夜は暖房がない玄関など10~20℃程度の場所に置くとぐっと長もちします。日中、鉢を戸外へ出せない人や夕方に取り込めない人は、日当たりのよい窓辺などに置きましょう。

 さらにもうひとつ、シクラメンについて知っておきたい知識があります。それはガーデンシクラメンのこと。平成の初めまでのシクラメンは鉢花として流通するのがほとんどで、そのまま飾って楽しむものでした。しかし、数年前からたくさん出回るようになったガーデンシクラメンは、名前から判断すると、庭植えもできるように思えます。実際、ポットの開花苗として出回るため、パンジーやビオラ、カレンデュラなどと同様に、花壇に植えつけするケースが少なくありません。出回り始めたころの情報では、それもまたガーデンシクラメンの利点として伝わっていました。
ガーデンシクラメンは、小形でより寒さに強い選抜種ですが、霜に当たれば傷んでしまいます。ですので、寄せ植えや単体で鉢植えにし、軒下など霜が当たらない場所に置くのが最適です。寒さに強い分、夜間に室内へ取り込む必要はありません。いわばガーデンシクラメンは、「コンテナガーデンシクラメン」というわけです。
なお、通常のシクラメンはペルシカムという種類の雑種や選抜種、品種ですが、最近では別の原種にも注目が集まっています。コウムやヘデリフォリウムなどの原種は霜や雪でも傷みにくいので、庭植え可能です。それでも落葉樹の下などに植えるのがおすすめ。積雪地帯なら雪が乾燥から守ってくれますが、雪が降らない寒冷地では、簡単な防寒を施すほうが安心です。

 おなじみの鉢花だとばかり思っていたシクラメンも、時代とともに変化を続けています。自宅の栽培環境や条件に合った管理を念におきつつ、今度の休日はお気に入りのひと鉢を見つけに、園芸店巡りをしてみてはいかがでしょうか。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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