5.毎日の手入れと管理
5-3.肥料の効果的な施し方
大きな花をたくさん咲かせたり、おいしい野菜や果実を収穫するには、多くの養分が必要ですが、土の量が限られているコンテナ栽培では、十分な養分が得られません。不足する養分を補うのが肥料です。なかでも大量に必要とされるのが、「肥料の3大要素」(大量要素)と呼ばれている窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)です。次いで必要な養分は、カルシウム、マグネシウム、イオウです。それぞれに効き目が異なり、植物の生育段階で必要とする要素が違いますが、養分は単独で働くわけではありません。複合的に作用しあって茎や葉をつくり、花を咲かせますから、バランスよく施すのがポイント。
また、根から吸収する養分なので、根が活動しているときに、効果的に施します。肥料は植物が順調に生育しているときに適量施すことが大事です。
肥料の成分と働き方
肥料成分は、それぞれの役割があります。単独で働くのではなく、さまざまな養分が助け合って植物を生長させています。効果を十分発揮させるためにも、どんな効き方をするのか知っておきましょう。
肥料の要素は植物のどこに働くのか
生長に欠かせない成分
窒素(N)
植物にとって最も必要な成分。茎葉や根の生育に重要な役割を果たし、主として植物が若い時期や茎葉が展開している時期に必要なので、「葉肥」ともいう。不足すると、生育不良になる、葉が小さくなったり、色が薄くなるなどの症状が出る。過剰になると枝葉が徒長し、葉は色が濃く大きくなり、軟弱になって病害虫に侵されやすくなる。
開花・結実を促す
リン酸(P)
植物の生長にかかわる栄養素で、茎葉や根の生長を助けると同時に、開花、結実を促すので、「花肥」や「実肥」とも呼ばれる。過剰でも症状は出にくいが、不足すると、葉が小型化する、花数が少なくなる、開花や結実が遅れるなどの症状が出る。
植物体を丈夫にする
カリ(K)
光合成に関係し、寒さや暑さ、病害虫に対する抵抗力をつけるので、植物を丈夫に育てるには欠かせない栄養素。特に根の発達を促進するので「根肥」とも呼ばれる。過剰でも症状は出にくいが、カルシウムやマグネシウムの吸収が阻害される。不足すると細根の生育が悪くなり、風などで倒れやすくなり、病害虫の被害を受けやすくなる。
植物体を丈夫にする
カルシウム(Ca)
肥料の3大要素に次ぐ重要な栄養素で、中量要素と呼ばれる。根の発育を促進し、土壌酸度を改良する働きがある。不足すると、トマトの尻腐れなどの生理障害や下葉の枯れ上がり症状を起こす。過剰になるとマグネシウム、カリウムなどの吸収が阻害される。
光合成にかかわる
マグネシウム(Mg)
中量要素と呼ばれる。葉緑素(クロロフィル)の中心的な要素で、リン酸の吸収や光合成を助ける。不足すると、葉脈の間が黄色くなり、下葉が落ちやすくなる。
根の発達などを助ける
イオウ(S)
中量要素と呼ばれる。タンパク質、アミノ酸、ビタミン類の構成要素で、根の発達を助ける。火山国の日本の土壌では欠乏する心配はない。
肥料の表示
肥料の袋や容器には、成分の名と5-5-5などの数字が表示されています。これは、肥料に含まれている窒素、リン酸、カリの成分比で、全体を100としたときのそれぞれの重量を表しています。5-5-5とあれば、100g中に窒素、リン酸、カリが5%(5g)ずつ入っていることを示しています。
肥料の表示方法は万国共通です。
中量要素や微量要素などが含まれているものには、その数字、重量比も記されています。