7.整枝・剪定のテクニック:樹形を整える
7-6.家庭果樹の剪定
果樹に限らず植物は、若いうちは枝葉をつくることを優先するので、花つきは悪くなり、当然実もつきません。植物が成熟し、花の咲く年齢、大きさに達すれば開花、結実して子孫を残そうとするので、ほうっておいても花が咲き、実もなります。しかし、庭や鉢植えでは花の咲く年齢まで大きく育てるわけにはいきません。コンパクトな樹形をつくり、その樹形を維持して、確実に実をつけさせるには、いつ、どの部分に花芽ができ、どのような実のつき方をするか(結果習性)を知り、的確に剪定しなければなりません。
結果習性を知る
結果習性は大まかに、新梢に実をつけるものと、前年枝につけるものに大別されます。一般に、花芽は短く充実した短枝につく種類が多いので、短枝を残すように剪定すると、実つきがよくなります。なお、果樹の芽には「花芽」、「葉芽」以外に「混合花芽」があります。
花芽
芽から花しか現れない
混合花芽
芽から花とともに葉と枝が現れる
前年に伸びた枝に花芽がつき、実がなる
前年に伸びた枝に、花芽と葉芽がつき枝に直接実がなるグループ。冬の剪定のとき、花芽と葉芽が区別できるので、花芽を落とす心配がありません。
このグループには、枝の先端に実がなるビワ、先端とその下のいくつかのわき芽につくブルーベリー、葉のわきにつくモモやウメ、サクランボのタイプがあります。
ビワ
ブルーベリー
モモ
ウメ
サクランボ
前年の枝に混合花芽ができて実がなる
前年に伸びた枝に混合花芽がついて、春にこの混合花芽から伸びた新梢に実がなるグループ。実をつける混合花芽と葉芽の区別がつきにくいため、剪定が難しいです。カキやクリ、柑橘類などは、勢いよく伸びる新梢の先端とその下の数芽が混合花芽になるため、冬の剪定で枝先を切ると花芽を落とすことになり、実がつかなくなります。前年に伸びた新梢の基部の葉腋に花が咲き、実をつけるキウイ、ブドウ、イチジクなどは、冬に枝を短く切り詰めても花芽を落とすことはありません。
カキ
ウンシュウミカン
キウイ
ブドウ
イチジク
2年目の枝(去年伸びた枝)に混合花芽ができて実がなる
1年目に長く伸びた枝には葉芽だけしかつかず、2年目になると枝先が長く伸び、基部に短い枝が出ます。この短い枝の先端に混合花芽がつき、3年目に花が咲いて実をつけます。このタイプにはリンゴ、ナシ、カリン、マルメロなどがあり、主に短い枝によく実をつけるので、長く伸びる枝を切って短い枝をたくさん出すことがポイントになります。
リンゴ
ナシ
カリン
ブルーベリーの剪定
作業適期 12~1月。
株元から発生する枝、シュートを用いて、3~5年を目安に株を更新する。
冬の整枝・剪定
① 枯れた枝や交差した枝など、樹冠内部の細かい枝を切る。
② 弱々しいシュートや1年枝のシュート、4~5年の古い枝は株元から切り、太い枝が4~5本程度になるように仕立てる。
③ 堆肥や酸度未調整のピートモスで株元を覆い、防寒する。