8.季節の手入れと管理
8-2.冬越しのコツ
植物は原産地によって寒さに対する耐寒力が異なります。一般的に熱帯から亜熱帯生まれの植物は、寒さに弱く、低温にさらされるだけで枯れてしまうため、早めに暖かい室内に取り込み冬越しに備えなければなりません。比較的耐寒性がある植物でも、寒風に当たると、枝葉が傷み、枝先から枯れ込むので、日だまりの軒下に取り込んだり、不織布や寒冷紗などで覆って寒風や霜、雪から保護します。植物によって防寒対策はさまざまですが、早めの対策を心がけましょう。
なお、冬は植物の生育も鈍っているので、水を控えますが、暖かい室内に置かれた鉢花などは午前中にたっぷり水をやります。
庭の防寒対策
耐寒性のあるパンジーやハボタンなどでも霜や寒風が直接当たると、葉や花が傷み、強い冷え込みが続くと枯れることもあります。寒冷紗や不織布をかけたり、落ち葉やわらなどで覆っておくと安心です。
木の下に埋める
日当たりのよい木の下に、鉢ごと埋めると霜よけと乾燥防止ができる。
鉢を埋め、さらにわらをかぶせておくとよい。
ペットボトルを利用する
苗の防寒対策。ペットボトルの底を切り取り、通気性をよくするために下側に切り込みを入れ、通風穴をあける。寒風が入らないように穴を南側に向けて苗にかぶせる。
球根を凍結から守る
春花壇用の苗を購入したら、植え付けの適期までビニールトンネルに入れて防寒する。トンネル内の温度が高くなるので日中はすそをあけておく。
ビニールのトンネルがけ
ダリアやカンナ、ジンジャーなどは、関東以西では植えっぱなしにできるが、土を盛ってモミガラをかけ、さらに寒冷紗などで覆うと安心。
落ち葉を利用する
晩秋に植えて冬までに根を十分張っていない苗は、落ち葉でマルチングして乾燥や霜柱を防ぐ。
室内の防寒対策
洋ランや観葉植物、熱帯花木、アザレア、シクラメン、シネラリア、カランコエなどは、室内の日当たりのよい場所で冬越しさせますが、室内は暖房するので、熱風が直接当たる場所や、昼夜の温度差が大きい場所に置くことは避けましょう。
日当たりのよい窓辺に置く
日中はカーテン越しの日が当たる室内の窓辺に置くが、窓際は温度が下がるので夜間は室内の中央に移し、ワゴンやテーブルの上など高いところに置く
アクアリウムに入れて窓辺に置く
保温、保湿効果のあるアクアリウムやテラリウムに入れて、窓辺に置くと、無加温の温室のような効果が得られる。
乾燥から守る
暖房している部屋では、エアコンなどの暖房器の温風が植物に直接かからないよう注意し、加湿器を使って乾燥を防ぐ。また、ときどき葉水を与えて、葉からの蒸散を抑える。
コンテナ植えの水やり
冬は水やりを控えて乾かし気味に管理すると、根鉢があまり水分を含んでいないため寒さに耐えられる。根鉢を湿ったままにしないことが上手に冬越しをするコツ。暖房のきいた室内では、生育を続けているため水を必要とするので、暖かくなってきた午前中に与える。午後に水やりして容器の中に余分な水があると、夜間に凍って根を傷める原因になるので注意する。水は汲み置きしたやや温かい水を与えるとよい。
ベランダの防寒対策
霜が当たらないので、南向きのベランダでは多くの植物が簡単な防寒で越冬します。しかし、高い階になれば風当たりも強く、乾燥するため、耐寒性のないものは室内に取り込んだほうが安全です。
鉢を不織布で包む
不織布は光や水を通すので、ビニールのように日中すそをあける必要もなく、包んだままで水やりもできる。
コンテナ植えの木をビニールでくるむ
オリーブなど、やや寒さに弱い木はビニールでくるんで防寒するが、日中と夜間の温度差が大きいので、ビニールに通気穴をあけておく。
ワーディアンケースを利用する
寒さや乾燥から植物を守る。日中は覆いをあけておくが、夕方に閉め忘れないように注意する。
時々日光浴をさせる
室内に取り込んだものなどを、暖かい穏やかな日中にベランダやテラスに出して、日光浴をさせ、水やりをする。
防風・防寒の工夫をする
フェンスにビニールフィルムなどを張って、ベランダ全体を防風・防寒する。
日光を確保する工夫
壁状の手すりがあるベランダは、日光が入らないので、フラワースタンドの上段に鉢花を置いて日光を当てる。
畑の防寒対策
畑では、寒風や霜よけにビニール製やポリエチレン製のシートをトンネル掛けにしたり、畝ごと寒冷紗や不織布で覆うベタがけをします。ベタがけとビニールトンネルを併用すれば、さらに保温効果がアップし、真冬でもタネまきができ、カブや葉菜類などが生き生き育ちます。
ビニールトンネルを利用する
晩秋から翌春までの間に葉菜類などをつくるときは、ビニールのトンネルをかけて防寒する。鳥や虫の食害も防げる。
笹竹を利用する
ソラマメやサヤエンドウなどには、笹竹を畝の北側に立てる。枯れたササの葉が適度に寒風をさえぎる。ビニールで上部を覆うと更によい。
不職布や寒冷紗をベタがけする
不職布や寒冷紗を、支柱などを立てずに野菜の上に直接かけて防寒する。霜や寒風を避け、保温のほかに乾燥防止にも役立つ。