あの時の花の美しさが、小さなスカーフに甦る......。育てた花を使って染め物を楽しむなんて、ちょっとロマンチックですね。さらに、キッチンで手軽にできる方法があるんだそう。花びらが一度に手に入らなくても、少しずつ冷凍して集めておけば大丈夫。染める生地はシルク、また和紙もおすすめです。
写真左/エラチオールベゴニア
写真右/トルコギキョウ
トルコギキョウの名で呼ばれますが、北米原産のリンドウ科の植物です。リシアンサス、あるいは属名のユーストマと呼ばれることも。近年花色、花形ともにふえ、見栄えがします。タネが細かいので、タネまきから育てるのは、やや上級者向き。
*ピンクや赤、紫など、アントシアニンという色素を持つ花なら、どれでも材料になります。萎れたときに茶色く変わらない花が、花びら染めに向く花の目印です。
MATERIALS
シルクのスカーフ1枚、食酢500cc、不織布の袋2枚(生ゴミ用などを利用)、輪ゴム1個、ばらした花びら スカーフの3倍の重量(今回はスカーフが15gなので、45gの花びらを用意)、水、ボウル、菜箸
Process 1
不織布の袋を2枚重ねた中に花びらを入れて、口を輪ゴムでとめ、食酢を注ぐ。
Process 2
食酢に浸しながら、袋の中の花びらの形がわからなくなるまで、こすりあわせるように揉む。徐々に食酢に花色がうつる。皮膚が弱い人は、手袋をして作業すること。
食酢と花びらをミキサーにかければ、あっという間に染め液が作れる。15~20秒ほどを目安にし、花びらの形がわからなくなればOK。
*写真はエラチオールベゴニアを使用した場合
Process 3
Process 2 に染め液の倍量ほどの水を注ぐ。泡が浮いたら、菜箸でつついてつぶしておく。
Process 4
湿らせたシルクのスカーフを広げながら、Process 3 に浸す。水面からスカーフが出ないように注意。ときどき菜箸でつつき、浮いている箇所が一定にならないようにすると、ムラなく染まる。そのまま半日~一晩ほど置く。
Process 5
色が出てこなくなるまで、流水で丁寧にすすぐ。スカーフを広げて、風通しのよい日陰で乾かす。
花によって、染まる色はこんなにさまざま。右上からサザンカ、アスター(キク)、ケイトウ、ゼニアオイ、アネモネ。
*花びらで染めた布を洗濯するときは、中性洗剤を使いましょう。また、自然の色のため、時間を経ると少しずつ色落ちしていきます。色落ちした布は、再度花びらで染める楽しみが!
制作、協力 庭木染工房 A Week www.minowanaoko.com