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寄せ植えを撮影する場合も、こう撮らなければいけないという決まりはありませんが、上手にできた作品は、ぜひきれいな写真で残したいものです。
寄せ植えは、玄関や庭先などの置き場所にマッチするように作られると思いますが、組み合わせる植物の草姿や色によっては、その場所が、必ずしも写真映えするとは限りません。
まず、その寄せ植えを置く場所で1枚撮影したら、今度は、作品が引き立つほかの場所を探してみましょう。そうすると、自分でも気づかなかった作品の魅力を再発見できたり、カメラに慣れることにもつながります。
下に2つ例を挙げました。寄せ植えは、庭植えと違って移動できるという最大のメリットを生かして、撮影する時に限っては、作品をあちこちに移動してみましょう。
寄せ植え撮影の基本は背景選び
(園芸ガイド2009夏特大号掲載)
園芸研究家の杉井明美さんが作った、ホタルブクロとギボウシの寄せ植えです。このように背が高く、細い姿の植物は、ほぼ真横から撮って高さと線を生かしたいもの。背景をすっきり見せることが必要です。家やベランダの壁を背景にしてもよいのですが、材質や色が作品に合わないと、かえって閉塞感のある写真になってしまいます。庭という限られたスペースでは、なかなか場所探しが大変ですが、その作業によって、さらに作品をよく見ることになります。一眼レフカメラを用い、望遠系のレンズを使うと、写る範囲が狭くなり背景がぼけ、作品を浮き立たせるのに効果的です。
(園芸ガイド2008冬号掲載)
園芸研究家の杉井志織さんが作った、パンジーとリーフレタスの寄せ植えです。小さめの鉢であれば、光が安定している室内もよい撮影場所になります。直射日光が当たらない明るい窓際などが適していますが、花が暗く写るようであれば、カメラの明るさ設定(露出)を明るめにする必要があります。お気に入りのインテリアと合わせるとおしゃれな雰囲気になります。ただし、寄せ植え自体が引き立つような素材や色のインテリアを選びましょう。
基本テクニック
撮影場所が決まったら、あとはちょっとした工夫で、より作品の雰囲気が伝わる写真になります。ポイントは、「光・アングル・季節感」です。
1. 寄せ植えに合った光を選ぼう
「花の撮影のコツ」同様に、基本的に直射日光での撮影では、寄せ植えのディテールがつぶれてしまいます。でも、植える植物の花や葉の色、質感によっては、強い光が、その寄せ植えらしさを感じさせてくれる場合もあります。
杉井明美さん制作の、ペチュニアとシルバーリーフの寄せ植えです。直射日光を避け、作品全体を完全に木陰に入れて撮影すると、花も葉も色がよくわかり、しっとりした雰囲気になります。
鉢をずらし、花に少し日光が当たるようにしてみました。すると、花が透けて、シルバーリーフは輝きを得ます。この作品らしい、キラキラした夏のイメージになりました。
2. 思い切って大胆なアングルで
誰かに見せる写真であっても、寄せ植え全体がすべて写っている写真を、撮らなければいけないということはありません。寄せ植えに使う植物は、草姿も様々なうえ、育ち方もいろいろです。ときには、その植物の特徴を捉えた大胆なアングルの写真の方が、自分の想いや愛着が伝わることもあります。
杉井志織さん制作の、カラミンサとアンゲロニアの寄せ植えです。寄せ植え全体の様子はよくわかりますが、写真に動きはなく、まるで静物画のようです。
暴れるように育つアンゲロニアの様子が引き立つように、やや斜め上から撮影しました。画面から花がはみ出すぐらいにすると、元気のよさが感じられます。
(園芸ガイド2009夏特大号掲載)
3. 生長を季節とともに見守る
寄せ植えは、植えた直後はもちろんきれいですが、一番の魅力は、それぞれの植物が順番に花を咲かせ、やがて枯れてゆく姿を見守ること。花の盛りだけでなく、季節ごとに見せてくれる表情をしっかり記録してみましょう。
杉井明美さん制作の、リンドウやカワラナデシコなどの寄せ植えです。夏の終わりにはセキヤノアキチョウジが咲きます。
秋の終わり、あえてそのまま残しておいたセキヤノアキチョウジは、枯れた茎が黄金色に輝き、思いがけない終わりの美を見せてくれました。鉢を移動して、ブルーベリーの紅葉を背景に入れることで、季節感を出しました。
(園芸ガイド2009夏特大号掲載)
写真家。自然の中の風景写真を様々な媒体に提供するほか、園芸雑誌でも撮影を担当している。
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