イチジクの実がならない・実が大きくならない・花つきが悪い原因として、どのようなことが考えられるか記載しています。また、どのように対策したら良いか解説しています。
花つきが悪い
日照不足が原因!

イチジクは本来亜熱帯性果樹なので、暖地のほうが良く育ちます。また日当たり、水はけの良い場所を好みます。花つきが悪い原因のひとつに「イチジクは日陰の湿った場所が好きだ」という誤った認識によることが多いようです。庭植えの場合、適地は関東以西の暖地ということになります。鉢植えの場合でも冬に風の強いところにはおかないことが必要です。
剪定方法に原因がある!
イチジクの実には、夏果と秋果があります。夏果は前年の秋、前年枝(2年枝)の先端部に付いた幼果が冬に発育を停止し、春先から再び発育して6月下旬~7月上旬に成熟するものです。それに対して秋果は春から伸びる新梢(1年枝)の中間部に着果し、8月中旬~10月中旬まで、枝(1年枝)の基部に近い果実から順に成熟するものです。品種によって夏果専用種と、秋果専用種、そして、夏秋果兼用種に分けられ、枡井ドーフィン、ホワイトゼノア、ブラウンターキーなどは夏秋果兼用種。蓬莱柿、セレストなどは秋果専用種、ビオレドーフィン、サンペドロホワイトなどは夏果専用種です。夏果は秋果より大果でおいしいのですが、わが国では梅雨期に腐りやすいので、家庭用には秋果専用種か夏秋果兼用種が良いでしょう。
上記のように品種によって実の着き方が異なるので、品種にあった剪定をしないと花芽を切り落としてしまい、実が着かないか、少なくなることがあります。これは庭植え、鉢植えに共通のことです。
夏果専用種
前年枝の先端に着いた小さい実がそのまま冬を越すので、切り戻し剪定では実がつきにくくなります。剪定を行う場合は、込み合うところの枝を間引いたり、前年の結果枝で長すぎるものだけを切り戻すぐらいにとどめます。
秋果専用種
今年の春から伸びる新梢(1年枝)に果実をつけるので、前年枝(2年枝)は必ず切り戻し剪定をします。このとき枝の長さに応じて2芽~5芽を残します。また、夏果専用種と同じく、込み合うところの枝や徒長枝は間引き剪定します。
夏秋果兼用種
上記2つの方法を併用しますが、一般に秋果が主体なので、秋果専用種の方法で行います。なお、いずれの品種も剪定の時期は12月~2月末までです。
実が大きくならない
土壌の乾燥に原因がある!
秋果の場合、春から育った実が6月中下旬ぐらいまで順調に大きくなりますが、途中で実の肥大が停滞して、再び成長を始め成熟にいたります。この肥大が停滞する時期、梅雨明けに当たりますが、このときに水分が不足すると、大きな葉が蒸散のために水分を奪っていくので、実がしなびてしまうことがあります。これを防ぐには実の成長が一休みする梅雨明けから成熟期直前の8月上旬まで水分不足にならないようにすることが大切です。鉢植えの場合は、朝、夕の2回水遣りをします。庭植えの場合は土から水分の蒸発を防ぐために根元に敷きワラや腐葉土によるマルチングをしてやります。
実つきが悪い
害虫が原因!
実が着かないと思っていたら、急に枝が枯れてきたときは、カミキリムシの被害にあっています。これは、葉を食害して樹勢を弱らせて、花つきや実つきを悪くするだけでなく、樹皮に傷をつけて産卵し、孵化した幼虫が枝や幹に侵入して木は衰弱し、実がつかなくなるだけでなく、ひどいときには枝が風で折れたりすることもあります。イチジクを害するものに7~8月に飛来するクワカミキリと5~10月のキボシカミキリがいます。成虫はその時期に見つけ次第捕殺、幼虫は糞の出ている穴に「園芸用キンチョールE」を注入し、退治します。