サクランボの実着きが悪い原因としてどのようなことが考えられるか記載しています。併せて、その対策方法もご紹介しています。
実着きが悪い
自家不結実性が原因!
サクランボには、強い自家不結実性と特定の品種間では受精できない他家不結実性という性質があります。そのため1本ではほとんど実が着かないので(暖地オウトウなど一部の品種では自家結実性のものもある)、受精の相性の良い品種を選び、少なくとも2品種以上植えなければなりません。ただし、片方の品種にもう一方の品種を高接ぎすれば、2本植える必要はなく1本ですみます。
品種を選択する場合、まず相性の良し悪しを知っておくことが必要ですが、次に示すグループ内では受精しにくいので、異なるグループ間で開花期のあうものを選ぶことが大切です。
1. ナポレオン、ビング、ランバート
2. 高砂、日の出、チャップマン
3. ジャブレー、大紫
4. 佐藤錦、黄玉
(たとえばナポレオンでは佐藤錦、高砂、ジャブレーなどを選ぶと良い。)
他品種を植えても、訪花昆虫が少なかったり、開花期の低温で授粉不良になることもありますので、人工授粉によって実着きを確実にすると良いです。
生理落果が原因!(貯蔵養分の不足が原因)
サクランボは、開花してから果実が肥大成熟するまでの期間が他の果樹に比べて短期間です。そのため果実の発育は前年の貯蔵養分に多くを頼っています。つまり、貯蔵養分が少ないと発育不良で落果が多くなり、着果しているものも肥大が進まず甘味も少なくなります。収穫後のお礼肥えを適切に与え、日当たりを良くすることが大切です。また、秋にきれいに紅葉するように貯蔵養分を十分に蓄積させる、早めの摘蕾・摘果で肥大を高めるとともに養分の無駄使いを防いで翌年の花芽形成を充実させることも重要です。
土壌の過乾燥や過湿が原因!
サクランボの根は夏の高温期の乾燥や梅雨時の過湿に弱いです。特に鉢植えなどでは水やりの不足や与えすぎなどに注意が必要です。
無剪定が原因!
本来はサクラと同じく枝の切り口が枯れ込みやすいので、あまり切らない方が枝の枯れ込みが少なくて良いのですが、込み合うところは間引き剪定をおこなって、樹冠内にも光が入るようにすることが養分の蓄積を図るうえでも、落果を防ぎ果実の発育を促すうえでも大切です。
また、結果枝の伸びが弱まると花芽のつきが悪くなります。その場合は、結果枝の更新を図るために強く切り返えし剪定をおこなって、翌年の新梢が勢いよく伸びるようにします。さらにそれら新梢を誘引して新しい結果枝を作るようにすると花芽の着きが良くなり実着きも多くなります。