スモモの実着きが悪い原因としてどのようなことが考えられるか記載しています。併せて、その対策方法もご紹介しています。
実着きが悪い
受精不良が原因!
スモモには、「ニホンスモモ」と「ヨーロッパスモモ」があります。ニホンスモモの多くは自家不結実性ですが、一部の品種(メスレー、ビューティー、サンタローザ)とほとんどのヨーロッパスモモ(スタンレー、サンプルーン、シュガーなど)には自家不結実性があります。自家不結実性の品種の場合は1本だけでは実が着かないので、開花期のあうもので2品種以上を植える(大石早生とサンタローザの組み合わせなどはよく結実します)必要があります。鉢植えなど花数が少なくて訪花昆虫が少ない場合は、2品種間での人工授粉をおこなうことで結実しやすくなります。ただし、ウメやアンズなどが庭や近くにあって訪花昆虫がいる場合は、これらの花粉でも受精して実がなるので、あえて授粉用品種を植える必要はありません。また、ニホンスモモのなかで自家結実性の品種も、他品種との授粉によってより確実に結実します。
温度条件が原因!
開花期が3月下旬~4月上旬と早く、この時期の降霜による低温によって授粉・受精が阻害され実着きが悪くなることがあります。開花期に霜害にあう恐れのある地域ではなるべく開花期の遅い品種を植えます。
ヨーロッパスモモはニホンスモモよりも開花期が遅いため霜害にあうことは少ないですが、雨の多いところでは病気が出やすく、裂果もしやすくなるので6、7月の降雨量が比較的少ない場所を選んで栽培します。また、雨よけをしたり鉢栽培にするのも良いです。
生理落果が原因!(貯蔵養分の不足が原因)
ニホンスモモは一つの節に花芽が3個できるので、前年の貯蔵養分の消費が多くなります。そのため幼果のうち50~70%が生理落果します。貯蔵養分が豊富にあればこの程度ですが、貧弱であればさらに落果の量は多くなり、生理落果後の実止まりは30%ではおさまらず、さらには小果となります。まずは、貯蔵養分を多くするために、お礼肥えを適切に与えて秋遅くまで青々と葉をつけて、光合成による炭水化物の増加を図ることが大切です。また、早めの摘果をおこなって貯蔵養分の無駄使いを防ぐことも大切です。
肥培管理が原因!
若木時代に元肥で窒素肥料を与えすぎると、枝葉だけが繁茂して枝の伸びに養分が取られ、幼果中の胚の発育が障害を受けて、生理落果を助長しやすくなります。
剪定が原因!
若木時代に切り返し剪定を多用すると枝の伸びが強くなり、枝葉の伸びで果実発育のための養分が取られて、生理落果が助長され実の着きが悪くなるので、間引き剪定を主体に軽めの剪定をおこないます。
日照不足が原因!
6月は降雨が多く日照不足になりがちです。日照不足は葉の光合成による養分生産を少なくするため落果をおこしやすくします。冬の剪定では樹冠の内側に日光が入るよう枝の込み合うところや弱い枝を間引き剪定し、6月には枝が重ならないように枝吊りをおこなうようにします。