ニホンナシ、セイヨウナシの花つきが悪い・花はつくが実がつきにくい原因としてどのようなことが考えられるか記載しています。併せて、その対策方法もご紹介しています。
実つきが悪い(花つきが悪い)
生育環境が悪いことが原因!
日当たりが悪かったり、土質が有機物不足や水はけ不良であるため樹勢が衰えて、花つきが悪い場合が多いようです。特に花芽ができるためには日照は欠かせないので、鉢植えなどは4~10月の間は日当たりの良いところを選んで置くようにします。庭植えでも周囲に日影を作らないようにし、同時に太い枝を切り返して木の若返りを図ります。土質改良には腐葉土や堆肥などの有機物を木の周辺に十分にすき込んでやります。
樹勢が強すぎることが原因!
強剪定で枝を短く切り詰めたり、窒素肥料が多すぎると枝葉の伸びに養分を取られて、花芽がつきにくくなることが多いようです。このような場合は切り戻し剪定を控えて、込んだ部分の枝の間引き剪定のみとする軽めの剪定にとどめます。また施肥も適度にし(土壌が肥えていれば、1,2年与えないこともあります)、窒素分は特に控えめに与えます。土壌の排水性も影響するので、特に水はけが悪いときなどは排水溝を掘ってやるのも有効です。若木であれば、根元から60~70cmのところをスコップで掘り太い根を2,3本切る(断根)も効果的です。
剪定方法に原因がある!
ニホンナシは、短果枝に良い花芽をつけます。特に長い枝で充実していて、わき芽の葉芽が飛び出ているものは、翌年に短果枝をつけるので、その先端2,3芽を軽く切り戻します。これをやらないと花数が少なく、良い実もつけません。逆にセイヨウナシでは、短果枝が付きにくく、一般に中果枝(20~30cm)や長果枝(40cm以上)などに実をつけるので充実した中果枝や長果枝はそのままにしておく(切り戻しをしない)ことが大切です。
実つきが悪い(花は咲くが実がつきにくい)
1品種で育てている。または、相性の悪い他品種と育てていることが原因!
果樹の種類の多くは、同じ品種同士では実がつきにくいものですが、ナシはリンゴなどとともに、この自家不結実性の強い果樹で、どの種類(ニホンナシもセイヨウナシもチュウゴクナシ)も1品種植えただけではほとんど実がつきません(ニホンナシの「おさ二十世紀」は例外で自家結実性です)。また、2品種以上植えてあっても、授粉の相性(交配不親和性)があり、相性が悪ければ実がつきません。交配不親和性の例は、幸水と新水、二十世紀と菊水で、この組み合わせで混植しても実がつきません。良い組み合わせとしては幸水と豊水か長十郎、新水と豊水があります。セイヨウナシではバートレットとラ・フランスが良い組み合わせです。
実が大きくならない
着果過多が原因!
実が大きくならない原因の多くは、実のつけ過ぎです。樹体内の養分と果実の数量のバランスがとれずに実が大きくならないのです。摘果などをしないでそのままにしておくと、実止まりが悪くなり小果になってしまいます。また毎年それを繰り返すと、樹勢も弱り、隔年結果を起こすようになります。摘果は満開30日後に行います。ナシは1花房に8~10の花が咲きますが、下から3~5番目の花が実になったものが肥大が良いので、さらに、この中から果梗が長くて実の形の良いものを1果だけ残します。鉢植えでは、7,8号鉢で2~3果を残して摘果します。大果の豊水などは2果残します。