暮らしの中で園芸を楽しむ園芸の基本
まずは知りたい園芸知識
揃えておきたい園芸用具についての基礎知識をご紹介します。このページではコンテナについての基礎知識とその種類、および選び方についてご紹介しています。
2.揃えておきたい園芸用具
2-5.コンテナのいろいろ
「コンテナ」とは植物を栽培する容器の総称で、鉢もプランターもコンテナの一つです。植物を上手に育てられるかどうかは、コンテナによって大きく左右されますから、植物の性質や大きさ、用途などに合わせて選ぶことが大切です。
コンテナ(鉢)の基本
■鉢の大きさ
あいている口の直径を号数で表す。1号は約3㎝で、5号鉢なら5×3=15㎝で、口径が15㎝の鉢ということになる。30㎝なら10号鉢。ただし、最近は、輸入品や特殊な形もあることから、号数ではなく㎝単位で表示されることもある。
■鉢の深さ
大まかに分けて3つのタイプがある。口径と深さが同じものを普通鉢(標準鉢)、口径の半分の深さのものを平鉢(半鉢、浅鉢)、口径より高いものを深鉢(長鉢、腰高鉢、懸崖鉢)と呼ぶ。
・普通鉢
標準鉢ともいい、口径と高さがほぼ同じで最も一般的な鉢。ほとんどの植物の栽培に向く。
・平鉢
浅鉢ともいい、高さが口径の半分の鉢。草丈が低いもの、根が浅く張るものの栽培に向く。タネまき、挿し木、小苗の育苗などにも使う。
・深鉢
長鉢、腰高鉢、懸崖鉢ともいい、口径よりも高さのある鉢。背が高いもの、根が深く張る植物の栽培に向く。スタンダード仕立てやヘゴ仕立てなどにも使われる。
コンテナの種類
一口にコンテナといっても、材質も形もさまざまです。材質で分けると、プラスチックや特殊樹脂でできた樹脂系のものと、テラコッタなどの天然素材系のものに大別されます。
材質によって用土の乾き具合が異なり、水のやり方も変わるなどで、植物の生長が鈍ったり、管理が大変になることもあります。見た目の美しさも大切ですが、まずは栽培条件や植物の特性などを考慮して選ぶことが重要です。
■テラコッタ
テラコッタはイタリア語で「素焼き土器」の意味。現在は輸入された素焼き鉢をさし、装飾が施されているものからプレーンなものまであり、変化に富む。通気性と透水性は素焼き鉢よりやや劣る。
■素焼き鉢
粘土を釉薬をかけずに700~800℃の低温で焼いた鉢。空気と水分を通しやすいので、鉢土が乾きやすく水やりの回数が多くなる。
■駄温鉢・朱泥鉢
1,000℃程度の高温で焼いた鉢で、縁の部分に釉薬が塗られて赤茶色になったものを駄温鉢、塗っていないものを朱泥鉢という。通気性と排水性は素焼き鉢よりやや劣るが、硬くて割れにくい。
■化粧鉢(塗鉢、陶器鉢)
素焼き鉢に釉薬をかけて高温で焼いたもの。さまざまな色、柄、質感のデザインがあるが、通気性がよくないので、栽培用より洋ランや観葉植物などを室内に飾る観賞用に使うのに向く。
■木製鉢
自然の風合いが楽しめる。通気性、排水性、断熱性がある。2~3年で風化してくるため、長期の使用はできない。
■リサイクル鉢(エコポット)
古紙やおがくずをリサイクルした鉢で、軽量で、水はけや通気性がよい。耐用年数は1~2年で、長持ちはしない。不要になったら、土にかえしたり、燃えるゴミとして処分できる。
■プラスチック鉢
丈夫で軽いのが特徴で、豊富な色と多種多様なデザインも魅力。排水性、通気性がないので、水やりを控えるなど過湿にならないよう管理すれば、ほとんどの植物が栽培できる。
・テラコッタ風のプラスチック鉢
一見テラコッタ風に見えるが、強化プラスチック鉢で軽くて衝撃にも強い。
■プランター
もともとは欧米で窓辺に置くウインドーボックスとして扱われていたもの。主にプラスチックでできた長方形の容器で、標準は長辺が約65㎝のもので、ミニサイズから大型まである。軽くて移動が簡単なので、広く利用されている。テラコッタ風のものや木製のものもある。
用途や目的別にコンテナ(鉢)を選ぶ
■野菜栽培用のプランター
土の量が多いほど野菜の生育がよく、収穫も見込めるので、コンテナを置くスペースがあれば大きなプランターがおすすめ。プラスチックのコンテナは通気性が悪いので、根腐れを防ぐため、底に多数の穴があいている。
トマトなどが栽培しやすいように支柱を立てる装置がついている深鉢タイプや、支柱が立てられるよう穴が開いていたり、持ちやすいように持ち手がある大型のプランターもある。根菜やつる性など、栽培する種類によって形状やサイズを選ぶようにする。
■吊り鉢・壁掛け鉢
鉢を上から吊るしたり、壁にかけたりするもので、つる性植物などを吊って飾るときに使う。鉢土が乾きやすいので、乾燥に弱い植物には向かない。
・ハンギングバスケット
中にヤシマットなどを敷いて用土を入れて使う。側面の切り込みにも苗が植えられるので、立体的に飾ることができる。
■専用鉢
専用鉢はそれぞれの植物の性質に合うようにつくられており、一般の鉢より鉢底穴が大きくあけられている。盆栽や山野草、東洋ランなどには、室内でも楽しめる装飾的な鉢もある。
・東洋ラン鉢
根が縦に伸びるので、特に深い鉢を使用する。鉢底の穴を大きくし、脚を3本つけた猫足にすることによって、水はけを良くしている。
・山野草鉢
夏の暑さに弱い植物が多いので、鉢壁が厚い断熱性に優れた鉢や、水を含みやすい材質などでつくられた鉢が使われる。交雑を防ぐために、単株で植える小ぶりなものが多い。
・ストロベリーポット
果実が土に触れて腐らないように高植えでつくられたイチゴの栽培用のポット。穴ごとに苗を植えられる。
・水栽培用の容器
ヒアシンスやクロッカスなどの水栽培に使う専用の容器。根を観察するためガラス製が多い。
・水鉢
スイレンなど水生植物を育てる洗面器のような鉢で、排水穴はない。
・底面給水式の鉢
鉢底に水をため、下から水を吸わせる構造の鉢で、シクラメンなどに用いられる。