暮らしの中で園芸を楽しむ園芸の基本
まずは知りたい園芸知識
土作りについての基礎知識をご紹介します。このページでは植物が育つための土作りについて、どのような土が良いか・良い土と悪い土の見分け方をご紹介しています。
3.園芸作業は土作りから
植物は土の中に根を伸ばして、水分や養分を吸収して生育します。根が伸び伸びと育つためにも土づくりはとても大事。土が悪ければ十分に根が張れず、茎や葉が支えられず、植え付け後の生育が悪くなります。植物栽培のコツは、まずは根を健康に育てることです。根が元気に活動するためには、根の住まいである土を知り、植物が喜ぶ土づくりをしましょう。
3-1.植物が育つ土づくり
植物にとって好ましい土とは
路地植えでもコンテナ植えでも、栽培の基本は土づくりです。植物が育つよい土の条件は、通気性と排水性がよいことと、同時に水分や肥料を保持する適度な保水力と保肥力があることです。
よい土の条件
1)通気性がよい
根は呼吸しているので、空気の通りが悪いと、酸素不足になり、根腐れの原因になる。
土の中にも常に新鮮な空気が必要で、水はけがよければ土粒間に残っている古い空気を押し出し、新しい空気が入りこめる。
コンテナの底にゴロ土を敷くのは、排水をよくするためでもある。
2)排水性(水はけ)がよい
① 水はけのよい土は、たっぷり水を与えるとすぐに鉢底から流れ出てくる
② 水を与えてから、鉢底から流れ出るまでに時間がかかるのは、水はけが悪い土
3)適度な保水性がある
あまり水持ちがよい土だと、土の中の空気が不足するし、排水性がよすぎても、必要な水分が土の粒に保たれず急激に乾燥してしまう。保水性と排水性のバランスがとれて、土粒内に水分が保持された状態なら、根が湿りすぎたり、乾きすぎることがない。
4)有機物を含む
腐葉土や堆肥などの有機物は「改良用土」と呼ばれ、微生物の働きで土の通気性、排水性、保水性を改良して、団粒化した土をつくってくれる。
5)酸度(pH)が適正である
多くの植物は中性~弱酸性を好む。アルカリ性が強い土や酸性が強い土は、養分の吸収が悪く、根が生育障害を起こす。
6)異物が混じっていない
土の中に小石や雑草のタネ、害虫の卵や幼虫、病原菌が混じっていると、生育の障害になる。
7)保肥性がよい
水やりのたびに肥料分が流れ出るようでは肥料の効果がない。
8)重すぎず、軽すぎず
土が軽いと株が倒れやすく、細かい粒が多くて重すぎる土は、水はけが悪くなる。理想の土の目安は重すぎず軽すぎず、土1?の重さが400~500g程度がよい。
よい土と悪い土とは
通気性や保水性、排水性のよい土は土の構造にも左右されます。
■よい土(団粒構造)
小さな土の粒がいくつか集まって大きな粒になったものを団粒といい、団粒が集まっている状態を団粒構造と呼ぶ。団粒と団粒の間に十分な隙間があるので、通気性、排水性に富み、さらに1つ1つの団粒内の小さな隙間に水分を保持することができるので、保水性もある。
■悪い土(単粒構造)
直径1㎜以下の小さな土の粒を単粒といい、単粒がぎっしりと詰まっている状態を単粒構造と呼ぶ。土の粒と粒の間が小さく空気や水の通りが悪く、根腐れしやすい。
・よい土の見分けかた
草花や庭木、野菜を植えるとき、庭土や畑土が有機質に富んだふかふかした軟らかい土かどうか、育てたい場所の土の良し悪しをあらかじめチェックしておくとよい。
庭土を掘ってみる
湿った状態のとき、ショベルを差し込んで、ショベルに土がべったりとつくようなら排水の悪い粘土質。また雨が降った後、水たまりがなかなかひかないときも粘土質。
ショベルで掘り、軟らかい層が20~30㎝あればよいが、15㎝以下なら、掘り起こして耕す。
土を握って指で押してみる
① 耕した土から適度に湿った土を手に取り、ぎゅっと握る。
② 固まったら保水性のよい土。固まらなければ保水性が悪い。
③ 固まった土を軽く指で押す。崩れれば団粒構造のよい土。
④ 崩れなければ水はけの悪い土で、改良が必要。
上澄み液で見る
① コップなどに水と土を入れ、かき混ぜる。
② 土が底に沈殿するスピードが速く、上澄み液がきれいなほど団粒化した土。
土壌酸度(pH)のチェック方法
土壌の酸度は、酸度計や試験薬などで測れます。土は場所によって酸度が異なるため、2、3か所で測定するとよいでしょう。
■酸度(pH)測定キット「アースチェック液」
① 試薬、試験管、比色表が添付されている
② コップ等の容器に、測定する土壌1に対し水道水を2の割合で加え、よくかき混ぜる
③ ゴミ等を取り除き、澄んだうわずみの部分を添付の試験管に2.5ccとる
④ アースチェック液を3滴加え、試験管のふたをしてよく振る
⑤ 液の色を比色表と比較して酸度を判断する
主な植物の適性土壌酸度一覧表など、使い方について詳しくはこちら
■土壌酸度測定器
先端を土に差し込んでから、1~2分で土壌酸度が正確に測定できる。
■生えている雑草でわかる
酸性の土壌でよく育つ、スギナ、オオバコ、クローバー、ヨモギ、ハハコグサ、カヤツリグサなどは、酸度指標植物といわれている。これらが繁茂していたら酸性土壌の可能性が高い。