4.基本のタネまきと植え付け作業
4-1.タネから育てる楽しみ
タネまきの前に
市販の花つきのポット苗を購入すれば花いっぱいの花壇や寄せ植えなどがつくれますが、育てたい品種があるとはかぎりません。珍しい品種などは自分でタネをまいて育てなければなりません。手間がかかりますが、タネから育てればたくさんの苗がつくれ、ポット苗を購入するのにくらべてはるかに安価です。また、一般にタネから育てた苗は生育旺盛で丈夫です。春のタネまきはソメイヨシノが咲くころ、秋は彼岸前後を目安に行います。
いろいろなタネ
タネは植物の種類によって大きさ、形、色などさまざま。皮が硬かったり、綿毛に包まれていたりしてうまく吸水できず、発芽が揃わないタネもありますが、市販されている絵袋入りのアサガオやセンニチコウ、ホウレンソウなどは、あらかじめ発芽しやすいように処理されているので、すぐにまくことができます。
大きさ、形、色が違うさまざまなタネ
ペレット種子
特殊なコーティングで吸水力を高め、粒子を大きくして均一にまきやすくしたニンジンのペレット種子。
注意したいタネ
タネの中には、発芽させるためのコツが必要だったり、ひと手間かけると発芽しやすくなるものもあります。
■傷をつけたり、水につける
アサガオ、スイートピー、ルピナスなどの硬実種子はそのまままいたのでは吸水できず、発芽しなかったり、発芽が揃いません。種皮に傷をつけたり、1晩水につけてからまくとよく発芽します。
① アサガオは背中の部分にやすりや刃物で軽く傷をつける。発芽部分には傷をつけないように注意。
② 水につけ、吸水して膨らんだタネを選んでまく。
■綿毛を取る
ワタ、センニチコウ、クレマチス、ローダンセ、オキナグサなどは、表面が綿毛で覆われて水分が吸収しにくいため、綿毛をとり除いてからまきます。
綿毛のついたセンニチコウのタネ
綿毛が取り除かれた市販のタネ
■タネをまく前に消毒する
自家採取したタネや長期保存したタネは、可能であれば殺菌剤で消毒してからまきます。
好光性種子と嫌光性種子
多くの植物のタネは光に関係なく発芽する中性種子ですが、光が影響するタネもあります。光が当たらないと発芽できないタネを好光性種子といい、タネをまいた後覆土をしないか、タネが隠れるか隠れないかぐらいにごく薄く覆土します。逆に光が当たっているとうまく発芽しないタネを嫌光性種子といい、タネが隠れるようにしっかり覆土します。
■代表的な好光性種子
アゲラタム、インパチェンス、キンギョソウ、コリウス、セイヨウオダマキ、デージー、プリムラ類、ベゴニア・センパフローレンス、ペチュニア、マトリカリア、ユーストマ、ジギタリス、モモバギキョウ、カルセオラリア、ナデシコ、ロベリア、ハナタバコなど
セイヨウオダマキ(キンポウゲ科)
インパチェンス(ツリフネソウ科)
デージー(キク科)
■代表的な嫌光性種子
オジギソウ、デルフィニウム、ナスタチウム、ニゲラ、ニチニチソウ、ハゲイトウ、ハナビシソウ、マツバボタン、ラークスパー、ルピナス、ワスレナグサ、ハナビシソウ、ネモフィラなど
ハナビシソウ(カリフォルニアポピー)(ケシ科)
マツバボタン
ワスレナグサ
情報をタネの絵袋から得る
絵袋の裏や内側には、タネのまき方、発芽後の管理、植物の特性などが簡潔に記されているので、タネをまく前によく読んでおきます。まき終わったら絵袋は捨てずにファイルし、資料として役立てると便利です。
タネの絵袋に書いてある情報例