暮らしの中で園芸を楽しむ園芸の基本
まずは知りたい園芸知識
ふやして楽しむテクニック:木や草花のリフレッシュと繁殖をご紹介します。このページでは挿し木、挿し芽でふやすについてご紹介しています。
6.ふやして楽しむテクニック:木や草花のリフレッシュと繁殖
6-8.挿し木、挿し芽でふやす
植物をふやす最も簡単なやり方に、挿し木(挿し芽)の方法があります。一般にタネから育てると開花までに時間がかかるうえ、園芸品種では親と同じものはできません。その点、挿し木は親と同じ性質をもつクローン苗が得られ、花も早く楽しめ、タネができにくい植物でもふやすことができます。
木本植物の場合に「挿し木」、草本植物の場合に「挿し芽」といいますが、どちらも作業は同じで、茎がある分大きな苗がたくさんつくれます。
さし床の用土
水はけがよく、清潔で、肥料分がないことが挿し木用土の条件。崩れにくい赤玉土や鹿沼土の小粒、川砂、バーミキュライト、パーライトなどを単用で用いるほかに、挿し木用の土も市販されています。
赤玉小粒の用土。水を水差しで与えたり、鉢底から吸わせて十分に湿らせておく。
市販の用土
挿し穂の準備
挿し穂は挿す枝のことで、よい枝を採取するのがポイント。よく日に当たって育った勢いのある株から、太くて充実した若い枝を選んで切りとると、最適の挿し穂が得られます。切り取った枝は、発根しやすい長さに切り揃えます。草花は5㎝程度、樹木は10㎝程度に切り、さらに、吸水をよくするために切り口を切り直したり、葉を切るなどして挿し穂の調整をし、上手に発根させるための準備をします。
挿し穂のいろいろ
草花は5cm程度、樹木は10cm程度を目安に株から切りとる。
挿し穂の切り方
切り口と土を密着させて根を伸ばしやすくすることが挿し木のコツ。切り口から水分を吸収するので、切り口の面積が大きいほど発根がしやすくなります。よく切れるナイフで、細胞をつぶさないようにスパッと切り、切断面を大きくするのがポイントで、切り口がギザギザにならないようにしましょう。
1)枝が硬いものの切り方
① よく切れるナイフを挿し穂に当て、基部を斜めにスパッと切る。
② 挿し穂を裏返して、反対側も斜めに切ってくさび形にする。
2)枝が軟らかいものの切り方
茎をつぶさないように注意して、斜めに切る。
用土に埋まる下部の葉を切り取る。
葉からの蒸散作用を抑えるため、葉を1/2~1/3くらい切る。
半日以上水につけて吸水させる
上手に発根させるコツ
十分に水揚げしたあとに、挿し穂の基部に「ルートン」などの発根促進剤をまぶしたり、ペースト状に練ったものをつけて挿し木すると発根率が高まります。
十分吸水させたあと、切り口に粉末をまぶす。このとき、多量につけないように注意。
挿し芽・葉挿し
枝や茎を挿すほかに、葉や根を切り分けて挿す「葉挿し」や「根挿し」、普通の挿し木では発根しにくい種類で行う「密閉挿し」など、方法もいろいろあります。
また、挿し木(挿し芽)は、株が老化しやすいキクなどの植物に対する株の更新を目的としても行われます。
草花の挿し芽
キク(天芽挿し)
適期 5~6月上旬
① 枝先を7㎝程度のところで切り取る。
② 水を入れたコップに入れて、2~3時間吸水させる。
③ 節の下5㎜くらいのところを、切り口をつぶさないように、挿し穂に適した長さに切りなおす。
④ 土の中に埋まる下葉を2~3枚、基部から切り取る。
⑤ あらかじめ湿らせておいた用土に、割り箸などで穴をあける。
⑥ 挿し穂を挿し、周囲の土を押さえて安定させる。挿し穂どうしの間隔は約3㎝。
⑦ たっぷり水をやり、発根まで風の当たらない日陰に置く。
* 天芽挿しは、頂芽をつけて挿すので、頂芽がそのまま伸びて素直に直立した苗が得られる。
鉢上げする
2~3週間で根が出てくるので、鉢上げし、生長に合わせて少しずつ大きな容器に移し替えていく。
① 根を切らないようにていねいに掘り上げる。
② 3号のポリポットに植え付ける。
③ 十分水やりして、4~5日明るい日陰に置き、その後徐々に日光にならす。
レックスベゴニアの葉挿し
適期 5~6月、9月
① 元気な葉を切り取り、30分程度水揚げする。
② 太い葉脈が入るように葉脈に沿って切り分ける。
③ 少し湿らせた用土に、葉と葉が触れ合わないように根元を2㎝ほど挿す。
④ 明るい日陰で管理すると、約1か月で発根し、不定芽も出る。不定芽の葉が2~3枚になったら鉢上げする。
* 用土は、バーミキュライトとパーライトの等量混合土。