自然界では、植物の生育に必要な養分は物質の循環によって供給されます。そのため、肥料を与えなくても植物の生育が可能です。しかし、栽培植物の生育には栄養源として肥料を必要とします。物質循環の仕組みから肥料の必要性をご案内します。
自然界の物質循環
森林や野原には、とくに肥料を与えなくても種々の植物が生育しています。これは自然界では植物が環境にあった場所で自生しているとともに、物質循環によって植物の生育に必要な養分がいつも供給されているからです。自然界の植物は、根から水や養分を、葉・茎から日光と二酸化炭素(炭酸ガス)をそれぞれ吸収して生長します。その生長過程で落葉や枯死があり、落ち葉や枯れ木などの有機物が地表に落ち、これが土中の微生物によって分解され、植物の生育に必要な養分になります。微生物や小動物の死骸、フンなども同様です。こうしてできた養分が再び植物に吸収されるという循環をくりかえしています。
栽培植物の栄養源としての肥料
私たちが栽培している植物の場合は、この物質の循環が必ずしも機能していません。落ち葉や枯れ草、枝などは取り除かれたり、ゴミとして処理されてしまいます。また、畑で栽培される農作物は農産物として収穫されます。このように管理された環境の中ではどうしても不足する養分がでてきます。鉢やプランターで育てる場合は、もともと土壌が少ないのでなおさらのことです。また花をより大きく、より美しく、野菜ではより美味しく、より収穫量を多くするなど、人間の要望にあわせて品種改良した結果、野菜や草花は育つために多くの養分が必要となり、これを補うためにも肥料を与える必要があるのです。