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10月-3.花ごよみ

 台風が東京を過ぎ去った翌朝。被害確認がてらの散歩の途中、アサガオがたくさん咲いている垣根が目に留まりました。落枝が散乱する街角にありながら、強風と強雨に耐えたあとに咲く花の美しさはこれまでに何回も目にしてきましたが、被害の大きさを知れば知るほど、その朝のアサガオの花容は印象に残るものでした。

花が咲く時期、咲く時間

 台風一過に咲くアサガオをよく見てみると、葉はほとんどなく、ワイヤーのようなつるに咲く花が、オーナメントのようでした。そんな姿もまた新鮮ではあるけれど、葉は残念なことに夏の急激な暑さと乾燥で傷んで枯れてしまったそうです。それでも花を咲かせるアサガオのど根性に、ただ感心するばかりでした。

 そしてその次の日、仕事先で花壇のチェックをしたところ、ひと月前に訪れたときに満開だったポーチュラカの花壇に、今回はあまり花が見当たらないことに気づきました。せっかくの台風一過の晴天なのに。
 近寄って見てみると、だいぶ花が傷み、そのまましおれてしまっているのです。ポーチュラカは午後になると閉じてしまう花とはいえ、午前中に咲けない状態は痛ましく、とても残念。今後、花弁が丈夫で、台風やゲリラ豪雨にも負けない品種が出てくると良いなと思いました。

植物と日照と

 花壇のチェックの合間の休み時間、花業界で働く人たちの話題は、なんとすでにクリスマスの花材。そのなかでもポインセチア!もうそんな植物の名前が挙がる時期なんだと、改めて季節の移ろいを感じます。
「去年のポインセチア、なかなか赤くならなくて」。
そんな話題も出てきました。
 ポインセチアは、昼間の長さが1日の半分(12時間)以下の短日状態が1〜2か月続くと花芽をつけ、苞(ほう)が染まる性質があります。11月ごろから店頭に並ぶ美しいポインセチアは、9月中には強制的に12時間以上、暗い場所に置いた結果、色づいているということです。
 秋分の日でようやく昼夜が12時間ずつになり、このメルマガの配信は10月初め。どうにかクリスマスの装飾に色づいたポインセチアが間に合うといいなと願いを込めて、この日から12時間以上、できれば14時間以上をめどにして遮光にトライしてみようということに。
 戸外では街灯の光が当たらないように、また気温の低下とともに鉢を室内へ取り込む場合も照明から避けて、黒い紙などを内張りした箱を被せます。具体的には、10月上旬の日没の17時ごろに箱をかぶせ、14時間後の朝7時ごろに箱を外し、日に当てます。
 しかしながら、この作業を完璧にこなすには、ポインセチア基準の働き方改革が必要じゃないか。そんなオチで終わったのでした。
 さて、日の長さが話題に出ましたが、秋はタネまきにも日長が関係します。日長が短くなれば、たとえ丸一日晴天だったとしても、積算日照時間を稼ぐための期間が延びます。タネまきが1日遅れるごとに生育が緩慢になるのは、光合成に必要な日照時間を得る期間が長くなるからです。
 というわけで、今日は「みちくさ」をお休みしてタネまきデーとすることにしましょうか。秋植え球根も植えなくちゃ。来る季節と、その先の季節を想って。

植物と日照と
コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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