10月-4.畑の景色

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トンネル景色

 秋の訪れは意外に早く、すでに肌寒い日があります。雨の日も多く、酷暑の夏を乗り越えた体にはダメージも大きく、体調を崩している方も少なくないようです。みなさまは変わらず、元気にお過ごしでしょうか。
 体調を崩しているのは、どうやら私たち人間だけではないようです。庭やベランダの植物たちに目をやりながら、今日は秋の長雨の合間にのぞいた晴れの日。散歩のついでに、少し離れた場所まで足を延ばして、みちくさをしてみましょう。

 東京でも住宅地から少し離れた場所まで歩くと、まだ畑がある場所がそこここに見られます。もちろん広大な水田や畑ではなく、住宅に囲まれた狭小なスペースではありますが、都市農業のありがたさと難しさを同時に教えてくれる貴重な空間です。それは生まれてこのかた、私にとってはたいへん馴染みのある農業の形。ですから、ときおり住宅地と畑の共存している場所を歩いては、初心に戻る時間を大切にしています。

 さて、その日、住宅地を従えるようにまっすぐ延びる街道をてくてく歩いていたら、道沿いの庭からガサガサと大きな音が響いてきました。立ち止まって目をやると、住人らしき方がゴーヤーの大きな日よけ棚を片付けていらっしゃいました。あたり一面に、ゴーヤー独特の粉っぽく青臭いにおいが立ち込めています。ところどころに黄色く完熟した果実をぶら下げながら、瞬く間に見通しがよくなっていく空間。最初は見えにくかった作業者の姿が、みるみる露わになっていくのでした。
 ゴーヤーの緑のカーテンが片付けられるシーンを目にすると、いよいよ本格的な秋だなと思わされます。貸し農園の脇を通りかかったら、しおれてすっかり寂しくなったミニトマトの支柱を片付けている人の姿も見られました。同時に同じ区画内には、真新しい防虫ネットを張ったトンネルが。かまぼこ型が整然と並ぶ様子もまた、秋らしい風景です。

 野菜の栽培では営利用ならもちろんのこと、家庭用でも、防虫ネットの利用が勧められます。秋の長雨の時期が過ぎ、気候が安定してくると、一気に害虫の被害が増加するからです。特に秋のこの時期は、秋冬野菜の生育期。レタス、コマツナ、ハクサイ、ミズナ、ホウレンソウなどおなじみの葉菜類が、防虫ネット越しに透けて見えることでしょう。生育期に成長点である芯の部分を害虫に侵されてしまっては、健全な生育が期待できなくなります。
 そうそう、夏にまいて植えつけたカリフラワーやブロッコリーもそろそろ収穫期。これらは草丈が伸びれば、トンネルとネットでの虫除けが難しくなります。殺虫剤や粘着板などを用いて、上手に保護したいものです。
 畑に並ぶトンネルも、やがてビニール張りのそれとなって、保温体制に入ることでしょう。東京では例年、紅葉が始まる11月下旬ごろでしょうか。

秋のタネまきは計画的に

 秋の生育期に並行して、10月がまき時の野菜もたくさんあります。前述の葉菜類はこの時期にまき、年内収穫を目指しましょう。
 ここで忘れてはいけないのが、秋まきのマメ類のタネまきです。彩りから主役まで、便利に使えるキヌサヤエンドウ、年に1度は食べたい豆ごはんのエンドウ。そして同じく初夏の味覚、ソラマメ。多種類のタネまきに追われる慌ただしい時期には、まき忘れたり、気づけばポットの置き場所がなくて諦めたりしがち。

 マメ類のタネまきでは、まいたタネをほじって食べてしまう鳥害に注意します。鳥は賢くて、どこかで作業を見張っているようなのです。これを防ぐにはポットまきにしてベランダやテラスで管理しましょう。1週間ほどで発芽するので、エンドウなら本葉3〜4枚、ソラマメなら本葉2〜3枚時に、根鉢を崩さず丁寧に定植しましょう。

  さぁ、今日のみちくさはこれぐらいで切り上げて、家にてタネまきの準備に取りかかりましょうか。途中、ホームセンターに立ち寄り、新しいポリポットを買って帰ることにします。そう、マメをまき忘れないようにね!

秋のタネまきは計画的に
コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

eグリーンコミュニケーションは、家庭園芸に関する悩みの解決方法、ガーデニングライフを楽しんでいただくための植物の育て方、虫や病気や雑草に関する情報をお届けしています。
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