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5月-10.どっさりと、咲くバラ

バラが移ろう

 次々と投稿されるみなさんのバラの写真をうっとり眺めていたら、あることに気づきました。サクラの開花に並走するようにバラの写真の投稿も始まり、そのバラは、ほぼ小輪の黄色いポンポン咲きです。
 そう、それはモッコウバラ。私は「ヒヨコ色」と呼んでいますが、特徴ある黄色の、黄モッコウバラです。しばらくすると、それを追いかけるように、白花の白モッコウバラの写真も見かけるようになります。そこに見られる微妙な花期のズレや移ろいは町の景色そのままで、町を散歩しなくても、インターネット上で花期が移っていくさまを感じられます。
 黄モッコウバラと白モッコウバラは、いずれも中国原産の原種のバラ。しなやかなつるにはトゲがないため扱いやすく、アーチやフェンスに仕立てても、近くに寄る子どもやペットを傷つける危険もありません。日本では江戸時代のころから園芸的に栽培されていたそうで、長きにわたって人の暮らしに近しい園芸植物であったことがうなずけます。
 黄モッコウバラと白モッコウバラは、両者ともに一重咲きと八重咲きがありますが、園芸的に栽培されるのは、圧倒的に八重咲きです。また、どちらも芳香がありますが、白モッコウバラのほうがやや香りが強いことで、より芳香を求める方は、白モッコウバラを選択するようです。
 また、黄モッコウバラのほうがやや育てやすい傾向がありますが、 どちらもとても強健で、生育が旺盛。つるはあっという間に誘引場所を覆うほど伸びるので、一面に花が咲きほこる景色を比較的簡単につくることができます。
 実際に散歩途中で見かけるお宅のモッコウバラは、思わず「わぁすごい!」と声を上げてしまうほどのボリュームをたたえているものが多く、まさに「花盛り」という言葉そのものの景色がそこにあります。
 5月も中旬になると、可憐な花容とダイナミックな樹姿が魅力的なモッコウバラの花期も、そろそろ終わり。代わって咲き始めるのが、一季咲きのオールドローズや、おなじみの四季咲きのバラたちで、いよいよバラの季節が本格化。多様な色彩と強い芳香に引き寄せられ、たくさんのバラに心が奪われていきます。つまり、いつの間にかモッコウバラからバラにバトンが受け渡されて、私たちの関心も移ろっているのです。

来年も、姿よく咲かせるために

 さて、多彩なバラの開花に夢中な時期ですが、バトンを渡してくれたモッコウバラをちょっと振り返ってみてください。
 そのわけは、モッコウバラの剪定時期は「花後すぐ」、遅くても6月いっぱいまでには終わらせたいからです。多くのバラの剪定が11月下旬?2月なことを考えると、だいぶ違います。これは、モッコウバラは翌春に花を咲かせる花芽を、夏の間につくるからです。
 生育旺盛なモッコウバラは、夏にぐんぐんとつるを伸ばします。大きくなりすぎて、ちょっと鬱陶しいなぁと感じるようになるのが夏以降に多いのは、このためなんです。
 でも夏すぎに、特にほかの種のバラと同時期に一斉に剪定しようものなら、せっかく夏にできていた花芽をカットしてしまうことになるので、花が咲かなくなります。
 花のほとんどがしおれてきたら、モッコウバラの剪定を予定に入れましょう。株姿を仕立て直したいなら、まさにこの時期がチャンスです。
 まず、古枝や枯れた枝をつけ根でカット。次に花が咲いたつるを半分程度の長さに切り戻し、長すぎるつるがあれば、目的の長さに切ります。かなり短めに切っても、どうせ夏の間にまた伸びていくのでこの時期なら大丈夫です。
 そして、「花芽を夏の間につくる」ということは、花後から初秋にかけて、しっかり肥料を施すことも忘れずに。ぜひ、来春もたっぷりどっさり、咲かせてくださいね。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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