室内に観葉植物を置く効用

監修 岩崎 寛

観葉植物は、最近は園芸店だけでなく雑貨店などでもインテリアとして販売され、その需要が高まっています。アンケートによると、購入者の多くは、観葉植物に室内のインテリアとしての効果だけでなく、精神的な癒しの効果も期待しています。そこで、「癒しの効果=ストレスの緩和効果」と定義し、室内に置いた観葉植物のストレス緩和の効果を検証してみました。

実験方法

鉢植えの観葉植物を置いた机と何も置かない机を用意し、一方のグループは観葉植物が視界に入る状態で、もう一方は無機質な空間だけが視界に入る状態で、それぞれ10分間の計算作業(クレペリンテスト)をしてもらいストレス負荷をかけました。また、同じ室内において、それぞれのグループが背中合わせに座ることにより、植物の有無以外は条件が同じになるようにしました。実験に使った観葉植物は、ポトス、ライムとスパティフィラム・マウナ・ロアです。
ストレスの指標には、唾液中のコルチゾールを用いました。コルチゾールは生命維持に不可欠なホルモンのひとつで、ストレスにさらされると急激に分泌量が増えることが知られています。

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実験結果

観葉植物が視野に入るグループのストレス直後のコルチゾール増加率は75%程度だったのに対し、観葉植物が視野に入らないグループでは230%の増加率となりました。これは観葉植物があるほうが、ストレスが軽減されたことを意味しています。
さらに、ストレス後20分たつと、観葉植物が視野に入らないグループでは600%近くまで増加しましたが、観葉植物が視野に入るグループでは大きな変化は見られませんでした。つまり、一時的なストレスでも、その影響は20分以上続き、観葉植物が見えるところにあるとそのストレスを大きく軽減する効果があることが示されました。

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植物は視界に入る場所に置こう

家庭や職場で観葉植物を置く場合、玄関や、部屋の隅、椅子の後ろなど邪魔にならない場所、あるいは植物の生育を考えて日ざしの入る窓辺に置かれることが多いようです。しかし、実験結果で明らかなように、植物の持つストレス緩和の力を有効に利用するためには、植物をただ室内に置けば良いのではなく、いつでも視界に入る場所に設置することが大切です。例えば視界の隅に入るように、居間のテーブルの上や、テーブルの上に置くのが無理なら、壁に掛けたり、天井から吊るしたりと視界に入る位置に設置する工夫をしてみましょう。また、職場において視界に入るように机の上に植物を設置した実験では、自分で選んだ好きな植物を設置する方が、特に好きでもない植物を置いたときよりも、ストレスの緩和効果が高く、仕事の作業能率が上がることなども報告されています。例えば、お子さんと園芸店に行ってお気に入りの観葉植物を選び、机の上の勉強に邪魔にならないけど視界には入る場所に置いてあげれば、ストレスが緩和されて勉強がはかどり、成績がアップするかもしれませんね。

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参考文献
岩崎寛,山本聡,権孝姃,渡邊幹夫(2006)屋内空間における植物のストレス緩和効果に関する実験,日本緑化工学会誌32(1),247-249.

監修 岩崎 寛(いわさき ゆたか)

京都市生まれ。京都府立大学農学部を卒業後、岡山大学大学院において博士号取得。
姫路工業大学、兵庫県立淡路景観園芸学校教員を経て2005年より千葉大学園芸学部に勤務。
現在、園芸学研究科環境健康学領域長。
2012年より千葉大学看護学研究科災害看護学GL養成PGの教員も兼務。専門は緑地福祉学、環境健康学。

園芸療法や公園セラピーなど「緑の療法的効果」に関する研究と、それらを実践する場である病院などの「医療福祉機関における緑のあり方」など、人と植物とのより良い関係について、緑地や植物からの視点だけでなく、医学、薬学、看護学など学際的な視点から研究を進めている。専門認定登録園芸療法士(日本園芸療法学会)、気候療法士(ドイツ)などの資格を持ち、日本ガーデンセラピー協会顧問、日本園芸療法学会理事、日本緑化工学会理事などをつとめている。

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