2月-2. ウメの香るころ(ウメ・ロウバイ)

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今年最初の花見に行こう

 「花見」というと、多くの方がサクラ、それもソメイヨシノが一斉に咲き誇る公園や土手などを思い浮かべることでしょう。しかし、サクラがもてはやされ始めたのは、平安時代に入ってからで、サク ラの花見がブームになったのは、江戸時代以降です。それ以前は花見といえば、ウメを観賞する「梅見」だったそうです。
 ウメはとても身近な花木ですが、原産は日本ではなく中国で、すでに奈良時代には渡来していたといわれています。百人一首では、サクラを抑えて100首以上の歌に詠まれているウメ。当時の日本人にとって、「花」はウメを指すものだったのでしょう。それは、中国から導入されるさまざまな文化が、眩しく華やかだった時代を物語っています。そんないにしえの人々に思いを馳せながら梅見をするのも一興。家の近くにウメの名所がなくても、町を散歩すればあちこちに咲き誇るウメの木に目が留まり、みちくさが一層楽しくなります。

ウメの仲間と違うウメ

 さて、本来はウメ(Armeniaca mume <* Prunus mume>)ではないのに、ウメの名を添えられて呼ばれている花もあります。ウメの近縁種ならまだしも、花の形が似ているという理由だけで呼ばれることがほとんどです。ちょっと集めてみると、まずウメに先駆けて年末から咲き始めるロウバイ(蝋梅)があります。蝋細工のような花からつけられた名前ですが、ウメとはまったく関係ないロウバイ科 です。ウメと同時期に咲き始めるオウバイ(黄梅)は、字面からしてもウメの仲間に思いがちですが、モクセイ科の植物。ソメイヨシノのころに咲くユスラウメは、ウメと同じバラ科ですが別属です。 花後の初夏に赤い果実がつき、食べることができます。このユスラウメ、漢字で書くと「桜桃」で、ウメの文字は見当たらなくなります。同属でもありごく近縁のニワウメは、庭梅と書きます。花期も 果実ができるのも、ユスラウメより少しだけ時期が遅くなります。同じバラ科の別属ではリキュウバイ(利休梅)があります。別名を「梅咲空木(うめざきうつぎ)」「梅花下野(ばいかしもつけ)」 といい、別属ながら、ウメの呼び名とは切れなさそうです。ほか、初夏に小花が咲くウメモドキ(梅擬/モチノキ科)は、秋から小果実を観賞できます。夏から秋にかけてはウメバチソウ(梅鉢草/ニ シキギ科)が、可憐な草姿を見せてくれます。いずれも「ウメ」は、花の総称として使われるほどポピュラーであるという例として、花散歩のついでにぜひ思い出してみてください。

 *ウメは最新の分類(APGIII)ではアンズ属(Armeniaca)になりましたが、旧分類のスモモ属(Prunus)がポピュラーなので並記しました。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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